一旦、「やってみます」が正解

「初めて企画書を作る」「初めて会議を仕切る」

「初めて一人でクライアントを訪問する」など、不慣れなことを依頼されると、人は思わず尻込みし、逃げ出したくなるものです。でもそんな未経験や苦手な仕事に出会ったら、まず一旦、受け入れてみましょう。

なぜならあなたの周りの人たちは、あなたの能力や仕事ぶりを見ていないようで、実はよく観察しているからです。本当にできない人に「できない仕事」を振ることはありません。にも関わらず、逃げ出したり、嫌な顔をすると、周囲からの信頼を失うことになります。

だからこそ「やってみます」と、前向きに返答するのが正解です。失敗してもだいじょうぶ。仕事を依頼した人はその可能性まで、実は折り込み済みです。「たとえ失敗しても命を取られることはない」と考え、前向きに頑張れば成長と信頼の2つを獲得できます。

俳優・文筆家・画家などマルチな活躍で有名なリリー・フランキーさんは言いました。

「できないって言うのはもったいない。だから何でもやらせてくださいって言うんです」と。成功したVIPの中には自分の幅を広げるため、未経験にも関わらず「それ、得意です!」と言って仕事を獲得してから、急いで勉強する人もいたくらいです。未経験や苦手分野こそ、あなたの成長の伸びしろです。前向きに取り組まないのは損以外の何物でもありません。

握手
写真=iStock.com/ArLawKa AungTun
※写真はイメージです

重要なのは予算規模の大きさ

「能力が低いのに大きな利益を稼げる人の秘密は何だろう……?」

営業を始めて30年。最初の10年で感じていたのがこの疑問でした。

「アポの効率を上げる方法」「クロージングのトークを磨くテクニック」など、世の中にはデキる営業パーソンが書いたノウハウ本があふれています。

私もそのような本を500冊ほど読み込みましたが、それだけで劇的に営業成績を上げることはできませんでした。なぜなら肝心の営業の真理を把握していなかったからです。

今ならわかります。営業成績は、クライアントの予算規模で決まります。

後田良輔『今こそ使える昭和の仕事術 ビジネスマン30年生の経験がたった3分で身につく』(かんき出版)
後田良輔『今こそ使える昭和の仕事術 ビジネスマン30年生の経験がたった3分で身につく』(かんき出版)

100円の仕事も1億円の仕事も、正直、労力はそれほど大きくは変わりません。にも関わらず、普通の人は目の前の仕事に没頭。結果、時間を失い、売上が上がらないと嘆いています。

一方、同じ時間で大きな売上を上げる人は、大きな予算規模のクライアントに注力しています。冒頭の能力が低いけど稼ぐ営業は、まさに大きな予算のクライアントで稼いでいたのです。

スキルはとても大切です。しかし営業成績は、「営業成績=アポの数×打率×クライアントの予算規模」の公式で決まります。

目の前の仕事も大切ですが、予算規模の大きさで仕事を選ぶことはもっと重要です。スキル向上と合わせて規模も追い求めてください。

後田 良輔(うしろだ・りょうすけ)
大手広告代理店管理職

1972年生まれ。大手3大広告代理店に営業職として勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと、「東京・名古屋・大阪」のビジネス三大都市で、実際に勤務して身につけたリアルな経験を組み合わせ、独自の「誰でも使える気配り術」を開発。その結果、飛び込み営業成功率72.6%、累計30億円以上の商談を獲得。『逆境を活かす! 就活面接「エモロジカル理論」2015年度版』(実務教育出版)、『落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる! ぶっちぎり理論38』、『気配りの正解』(ともに、ダイヤモンド社)、『ミスを最大のチャンスに変えるリカバリーの技術』(明日香出版社)などがある。