聞かれている内容を正確に確認する
例えば「なんかおもしろい企画ない?」と聞かれたら、あえて答えず、聞かれている内容を正確に確認します。
→「いままでと違ったテイストの企画ってことですよね?」
→「みんながワクワクするプランってことですよね?」
→「これまでにアプローチしてきた対象を変えた内容ってことですよね?」
こんなふうに掘り下げていくと、
→「まず、いままでの企画を一度洗い出してみてもいいですか?」
→「ワクワクを定義するところからはじめるのがいいかもしれません」
→「○○の層にはまだアプローチしていないのでいかがでしょうか?」
と議論が深まっていきます。
「質問の内容を確認するなんて当たり前でしょ」と思う人が多いと思います。
でもこれが結構甘く見られがちです。
人は何か聞かれると反射的に答えようとするからです。
思い切って立ち止まる勇気が必要
「答えないと突っ込まれるかもしれない」「即答できないとダメな奴だと思われるかもしれない」、そういった思いがよぎるからでしょう。
だから反射的に言葉を発します。
反射の力は強大で、熱いヤカンを触って「アチッ!」と言うくらい、瞬間的に発動するのです。
そうならないためには思い切って立ち止まる勇気が必要。
それが、あえて答えず聞くことです。
→「なぜ離れているか、その原因ということですよね?」
→「どんなアプローチが考えられるか、ということですよね?」
◆例2「○○の件、どうしたらいいと思う?」と聞かれたら……
→「実施するかしないか、ということですよね?」→「誰に任せるか、ということですよね?」
議論の目的は自分が100点の回答を出すことではありません。
双方の会話の中で100点が生まれることです。
どっちが正解を答えたかは重要ではないです。
議論を深めるために「答える」というアクセルがあれば、「答えない」というブレーキがあってもいいはずです。
車はアクセルとブレーキが同時に進化したからこそ、ここまで発達しました。
即答しないことも、また答えです。
あえて答えないことも建設的な議論を生み出す一助になります。
1978年生まれ。新潟県出身。2017年、「伝わる話し方」を教育する株式会社モチベーション&コミュニケーションを設立。日本能力開発推進協会メンタル心理カウンセラー、日本能力開発推進協会上級心理カウンセラー、一般社団法人日本声診断協会音声心理士。著書に『10秒でズバッと伝わる話し方』(扶桑社)、『雑談の一流、二流、三流』、『質問の一流、二流、三流』(ともに明日香出版社)がある。