利回り10%なら毎月4万8000円の貯蓄で1億円に

冒頭で説明したように、月30万円ずつ現金で貯められたら、30年後に1億800万円になりますが、月30万円を貯めるのは難しいです。そこで30年後に1億円を貯蓄する為に金融商品を活用します。もちろんリスクもありますが高いリターンを得られる可能性もあります。仮に5%の利回りで運用できますと毎月の投資金額は12万3000円です。利回りが8%なら7万1000円、10%なら4万8000円となります。

ちなみに現在、話題に上がることの多い米国の「S&P500」インデックスファンドの70年の歴史の中で15年以上運用しますと、平均で約10%の利回りの実績があります。利回り10%が毎年必ず続く訳ではないですが、「毎月4万8000円ずつ積み立て」と聞くとハードルはグッと下がるのではないでしょうか。

ただし投資信託ではつまらない。株式投資をやってみたいという方もいらっしゃるかと思います。減る可能性はあるものの、増える可能性もありますので、挑戦してみてもいいと思います。ポイントはNISA口座ではなく、特定口座や一般口座で行うことです。なぜなら年間の損失を3年間繰り越せる「損益通算」という制度が、NISA口座では使えませんが、特定口座や一般口座では使えるからです。

損益通算とは、たとえば今年100万円の損失が出たとします。来年50万円、再来年30万円、その翌年20万円の利益が出るとすると、本来ですと約10万円、約6万円、約4万円の税金が徴収されますが、確定申告をして損益通算をすることで0万円にすることができます。株式投資では必ず利益が出せるわけではないからこそ、一度徴収されてしまった税金の還付を受けることができる特定口座や一般口座がおすすめです。

NISA口座のメリット

とはいえ、売却益や配当金が非課税になるNISA口座で買うメリットは大きいです。わかりやすくいうと、10年前に23円だった株が1万3000円になったとします。23円のときに4万株を92万円で買って、今売ると5.2億円です。売却時に支払う税金は(5.2億円-92万円)×20.315%で1億500万円ほどとなりますが、NISA口座ならこれを支払わなくて済みます。ですので、テンバガーなど将来大きく上昇する銘柄などでは、NISA口座を利用する魅力は高まると思います。

金融資産を増やす方法として保険も有効。掛け捨てでなく、貯蓄性のある商品なら運用益が得られる可能性があります。

ただし金融資産の場合、今のように円安で1ドル100円が150円になると、日本円の価値が7割ほどの価値になってしまいます。その場合はリスクヘッジとしてドル資産を保有することも必要になるでしょう。

パソコンを使用する人と「NISA」の文字
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車や貴金属は5年後に売れるものを選ぶ

一方、「固定資産」は不動産や車、貴金属など。これらも貴重な収入の発生源となります。不動産があれば、月々の家賃収入としてインカムゲイン、物件を売却すればキャピタルゲイン、の両方が見込まれます。車や貴金属も、その場で使い潰してしまうよりも、5年後に売却を選択しても価値が一定程度あるものを選んだ方がよいです。キャピタルゲインが手に入る可能性があります。

キャピタルゲインとインカムゲインは、どちらも大切です。たとえば共働き世帯年収1000万円が、妻が産休・育休で年収600万円になってしまったとします。それでも生活水準が変わらず、豊かに暮らせるならキャピタルゲインを狙う。もし生活水準を下げなければいけないなら、やるべきは収入減分をカバーするインカムゲインの運用です。そういう使い分けが必要になってきます。