漫画家の田房永子さんは「5年前に娘と2人で行ったときの経験から、ディズニーランドが大嫌いになっていた。しかし今年、“ディズニーリゾート通”のママ友親子と一緒に行ったところ、認識が大きく変わってとても楽しめた」という――。
東京ディズニーランド駅
写真=iStock.com/Ryosei Watanabe
※写真はイメージです

5年前のTDLの記憶

ついこのあいだまで、私はディズニーランドが大嫌いでした。

嫌いになったのは5年ほど前に行った日のことです。

当時小学校低学年の娘と2人で平日に行き、15時頃から入園しました。ハッキリ覚えていないけど、チケットは2人で1万円前後だったと思います。

京葉線でヘトヘトになって着き、とりあえず「イッツ・ア・スモールワールド」に乗ってショップでぬいぐるみなどを見ていたら、17時を過ぎて外は真っ暗になっていました。

乗り物やお店の建物はもちろんライトアップされていますが、それらをつなぐ道には街灯がないので、四方八方に行き交う人々と何度もぶつかりそうになりました。

7歳くらいの子どもを連れて暗い場所を歩くのは不安ばかりで全然楽しい気持ちにならず、さらにその時、工事中のスポットがいくつかあって、極端に通路が細くなっていて、向こうから来る人たちとこっちから歩く人たちが1列ずつにならないと通れないところがありました。スタッフが1人で誘導してくれていましたが、上を見上げると工事の中で新しいゾーンを建設中の作業員のおじさんたちが働いている様子が見えてビックリしました。

子どもが生まれてからランドとシーに2回ずつくらい行った時に飲み込んだ言葉がハッキリ出てきました。

「昔の、20年前のディズニーランドはこんなことなかった……。こういう光景を客に見せないように徹底的に隠していた、だから“夢の国”感がすごかった……」

大好きだったのに、いつの間にかマニアのためのスポットになっている。

90年代末期のディズニーランド。ファストパスが導入されるかされないかあたりの頃。開園と同時に走ってアトラクションに並ぶしかなかった。私たちより先に走っていった人のものだと思われる一眼レフのケースやら、帽子やらが道ばたに落ちていた。それくらい皆、浮かれていた。

でも、変わってしまった……。

いや、私がついて行けなくなったんだ。2010年代の私のTDLの過ごし方は、ファストパスの取り方を調べもせず来て、幼児を連れて何時間も並んだり人混みを歩いたりする元気がないから、16時くらいになったらさっさと帰っていた。だから夜になるとこんなに暗いって知らなかった。

そうして、「東京ディズニーリゾート」の存在を5年くらい頭から消していました。