同額同年運用しても、手数料の違いで「20年で357万円差」

まず、信託報酬を低く抑えたい投資初心者にとっては、「アクティブファンド」は要注意です。

投資信託の運用には、市場全体の値動きを示す指数(インデックス)と同じレベルの利益を目指す「インデックス(パッシブ)型」と、投資信託の運用を行う専門家であるファンドマネージャーが銘柄を選択し、指数以上の利益を目指す「アクティブ型」の2種類があります。

インデックス型の指数は国内であれば「日経平均株価」「東証株価指数(TOPIX)」、アメリカであれば「NYダウ」や「S&P500」などがあります。インデックス型はハイリターンよりも安定性重視。信託報酬は約0.05%~と、安めに設定されています。

アクティブ型は指数以上の利益を目指すために売買する回数が多く、積極的な運用・管理が行われるぶん、信託報酬は高めで約0.7~1%台が多く、中には2%以上の商品もあります。

手数料は年率で表示されていますが、毎日計算されたうえで信託財産から差し引かれていきます。

この手数料の違いが長期保有でどれくらい響いてくるのか、次で見てみましょう。

500万円を年利回り5%、信託報酬0.05%で20年間運用した場合=約1314万円
500万円を年利回り5%、信託報酬1.7%で20年間運用した場合=約957万円
⇒20年間の差額は……357万円

手数料の違いだけで、手元に残るお金に350万円以上の違いが出てくることが分かります。

NISAで「全世界株式インデックス」や「全米株式インデックス」の人気が高いのは、長期で見た時に元本割れのリスクが低いことに加えて、この手数料の安さが大きいといえます。大手証券会社が扱う同商品の信託報酬は、だいたい0.05~0.09%に設定されています。

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アクティブファンドの9割はパフォーマンスがインデックス以下

手数料が高い分、アクティブファンドはインデックスよりも高いリターンが得られる。そう考えたくなりますが、残念ながらそうとは言い切れません。

実は、「長期保有」という前提からいえば、「アクティブファンドはインデックスファンドに勝てない」というのが、多くの専門家が口をそろえるところなのです。

実際に、スタンダード&プアーズの発表によれば、過去10年間で「S&P500」よりもパフォーマンスが低かったアメリカのファンドは約87%、日本のファンドは約85%であることがわかりました。つまり、9割近いアクティブファンドが、インデックスファンドに敗北しているというわけです。

これには、高い手数料が影響していることも当然、あるでしょう。高い手数料を上回ってあまりある、残り1割のハイパフォーマンスなアクティブファンドを見抜くことは、初心者には至難の業です。