過去の教訓を生かそう

現在異次元の少子化対策として、児童手当の拡充なども含めた経済的支援の強化が検討されていますが、思えば2009年に発足した民主党政権時にも似たようなことがありました。当初は所得制限なしで一人2万6000円の子ども手当を支給するという話でしたが、財源確保のために年少扶養控除が廃止され、控除がなくなったにもかかわらず、結局一人2万6000円という子ども手当も支給できないということになり、現状の児童手当となってしまいました。この児童手当でさえ所得制限による特例制度が施行され、さらに2022年には所得上限を超える場合は支給停止となっています。

この流れから10月から児童手当を拡充すると言われても、にわかに信じられません。高校や大学の無償化についても新しい制度が施行される頃には対象外の年齢になってしまうという子どもも出てくるでしょう。また、まだ生まれていない子どもたちや小さい子どもたちが高校、大学に進学するころまでこの制度が続くかどうかの保障もありません。やはり子どもの学費は自助努力で確保しておいた方がいいのではないかというのが実際にはしごを外され続けてきた者の意見です。

まとめ

無償化は全然無料じゃないということがご理解いただけましたか? 授業料が無償化されても授業料以外の費目が沢山あります。また、学校に支払う以外の費用も少なくありません。無償となるのは学費全体の一部であるにもかかわらず、全てが無料になるかのような印象を持たせるのは問題であると思います。無償化されるもの以外の費目での値上げも実際にありえるので、結局私たち親の負担はあまり減らないかもしれません。また、このような支援制度は子どもが高校生、大学生になる10年後、20年後まで続かないかもしれません。結局財源確保のためには私たちや子どもたちが負担しなければいけなくなるという可能性もあります。無償化というワードを鵜呑みにして、まったくお金がかからないという幻想を抱かずに、子どもの学費準備は国の援助をあてにしすぎず、自助努力でこつこつ計画的に準備しておくことをおすすめします。

橋本 絵美(はしもと・えみ)
はしもとFPコンサルティングオフィス 代表

6人の子どもを持つママFP&お片づけプランナー。福岡県出身。小さな頃から「大家族のママになりたい!」という夢を持ち、慶應義塾大学商学部卒業後、学生時代から交際していた夫と結婚。現在、中学2年生から3歳まで2男4女の子育て中。