YouTubeで詐欺師とのやりとりを公開中

もうひとつ最近増えてきたのが、SMSで「未納料金があります」といったメッセージを送る手口です。折り返し電話をすると脅されて、怖くてお金を振り込んでしまうというケースですね。これも折り返さない、振り込まないようにしてください。

今、僕はYouTube番組を2つやっていて、そのうちの「森永康平のリアル経済学」では実際の詐欺師との会話を公開しています。だまされたふりをして詐欺師に会いにいき、そこで録音した内容を全部、誰にでも聴いてもらえるようにしたいと思って始めました。

投資詐欺の現場を戸柱康晃氏が潜入捜査
投資詐欺の現場を戸柱康晃氏が潜入捜査。「森永康平のリアル経済学」より

詐欺に気をつけましょうと伝える活動は以前からしていたのですが、あるとき、これって意味ないなと気づいたんです。そもそも詐欺にあいたいと思っている人なんていないのに、急に気をつけましょうといわれても「そりゃそうだろう」としか思えないですよね。

多くの人が自分ごとだとは思えないわけですから、気をつけるように言うだけでは引っかかる人を減らせない。だったら実際の手口を全部公開しておいて、「もしかしてこれ詐欺かな?」と思って検索したときに僕のYouTubeにたどりついてもらえたらと。聴いてみて「俺が今しているやりとりと同じじゃん」となれば、詐欺だと気づいてもらえるかなと思ったんです。

この番組も、最近は見てくれる人が増えてきました。「まさに同じことをされていたけど、途中でYouTubeを見て詐欺だと確信できたから引っかかりませんでした」という連絡も結構もらえるようになってきています。今後も会話の録音やLINE詐欺の動画のほか、SMS詐欺に折り返し電話をしたときの録音などをどんどん公開していく予定です。

冷静に考えると怪しげな話ばかり

詐欺では「お金を払う」というのが最終行動です。本人のお金の決裁権限は本人にしかないわけですから、払いさえしなければ被害にあわずに済みます。でも、いかにしてそこまで誘導するかを考えるのが詐欺師の仕事。実際、被害者の多くは引っかからない自信があったのに引っかかっているのです。

僕もあえて投資詐欺のLINEグループに入っていますが、見ているとやっぱりおかしな話ばかりです。偽の運転免許証やボイスメッセージはうまくできているものの、話自体は「この株は1年で倍になる」といった怪しげなものがほとんど。

確かにそういう株もないわけではないけれど、いつ上がるかなんて誰にもわからないですし、逆にわかるんだったらそれを人に教えるメリットなんてないはずです。