森永親子をかたった詐欺で約9億円の被害

この手口については、僕は被害にあった方々から直接話を聞きました。なぜかというと、僕も詐欺師の広告やアカウントに顔と名前を使われているからです。そのため、SNSなどを通して毎日のように「本物ですか」といった問い合わせがあり、ときには被害にあってしまったという事後報告も寄せられます。

今のところ、僕をかたった手口ではおよそ3億円、親父(経済アナリストの森永卓郎氏)をかたった手口では6億円もの被害が出てしまっています。親子でこれほどの詐欺に利用されるなんて、本当に腹立たしいです。

僕が警察に訴えても、こちらの被害は肖像権の侵害だけなのでなかなか動いてもらえません。SNS側も、暴力や性描写などが含まれる広告はAI審査ではじいているようですが、この手口だと著名人の顔写真が載っているだけなのではじくことができないのです。

僕はSNS側にも被害を申請しましたが、今のところ動いてくれる様子はなく、スルーされている状態です。今後はSNS側も厳しい対応をとらざるを得ないように、法改正などが必要だろうと思います。

ソーシャルメディアプラットフォーム
写真=iStock.com/Kenneth Cheung
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「引っかかるはずがない」と思っていた人が引っかかっている

皆さんは、普通はそんな手口に引っかからないだろうと思うでしょう。でも、被害者の方に話を聞くと、多くの人が「そういう詐欺があることは知っているし、ニュースで見たときこんなのに引っかかるやつはバカだなと思った」というんです。

じゃあなぜそれに引っかかったんですかと聞くと「今回は本当だと思った」と。自分だけは違うという、いわゆる正常性バイアスが働くのかもしれません。被害にあった方々が皆さんそう言うので、手口を知っていれば引っかからないというわけではないんだなと実感しています。

こうした詐欺に引っかからないようにするには、LINEグループに誘われてもすぐ退会すればいいだけです。一歩進んでしまってLINE上で1対1に持ち込まれても、結局はお金を振り込まなければいいので、手を引くチャンスはいくらでもあります。

これがリアルで会ってしまって、しかも相手がいかつい感じの人だったりすると断れないかもしれませんが、この手口はLINEでやりとりするだけ。スマホの中だけでの話ですから、疑問を感じたらすぐ退会するなりブロックするなりして手を引けばいいんです。