「ブギウギ」最終週はスズ子と羽鳥の師弟関係が描かれた
朝ドラとして親しまれた「ブギウギ」最終週となる第26週では、「オールスター男女歌合戦」を大トリとして堂々と務め上げた福来スズ子(趣里)の「ブギの女王」復活が、華々しく報じられる。しかし、スズ子はある決意を胸に、作曲家・羽鳥善一(草彅剛)のもとに向かう。その決意とは、歌手を引退することだった。
スズ子と二人三脚で歩んできた羽鳥は絶縁宣言し、引退に猛反対のマネージャー・タケシ(三浦りょう太)は家を出て行ってしまうが、それでもスズ子の決意は揺るがない。一方、茨田りつ子(菊地凛子)はスズ子が引退を決意するに至った思いに真摯に耳を傾ける。
羽鳥との絶縁が心に引っかかっていたものの、スズ子は引退会見にのぞむ。絶縁状態になってしまった二人だが、スズ子はりつ子に、羽鳥は妻・麻里(市川実和子)に、きちんと向き合うよう言われ、苦楽を共にしてきた師弟が話し合いを持つのだった。
ドラマは序盤からラストに至るまで、スズ子にとっての名パートナー・羽鳥と、ライバルであり親友・りつ子の3人組がメインとして描かれた。そして、最終週はまさに師弟の物語が主軸だった。
服部は笠置と出会ったとき、その「別格感」に魅せられた
羽鳥のモデルとなった服部良一は、スズ子のモデル・笠置シヅ子の第一印象を自伝『ぼくの音楽人生』(日本文芸社)で「薬びんをぶらさげ、トラホーム病みのように目をショボショボさせた小柄の女性がやってくる。裏町の子守女か出前町の女の子のようだ」とし、その夜の『クイン・イザベラ』の舞台稽古を見た驚きを次のように記していた。
服部良一『ぼくの音楽人生』(日本文芸社)
また、少女歌劇に入った笠置は、踊りでは世に出られないと見切りをつけ、声楽へ転向。松竹楽劇団に入るため上京し、服部と出会うが、当初はソプラノの高い声で歌っていたところ、スイングは地声でなければいけないという服部の持論により、地声で歌うようになったことから、歌手として成功する。