良き理解者に救われた

一方で、良き理解者にも恵まれた。

近くに住んでた二人のママさんには、ものすごく助けてもらいました。子ども同士が同じクラスで、とても仲が良かったので、何かと声をかけてくれたり、話しかけたりしてくれる。フランクなママさんに救われ、気持ちが楽になりました。仲間外れにされて、浮いているような感覚はなかったです。

渡辺さんは、彼女らに自分たちの夫婦役割を詳しく話したことはなかったため、夫が育児を全面的に担っていることを知らなかったはずだという。「ひょっとしたら、不思議に思われたり、興味深く思われていたりしたのかもしれませんが」と振り返った。迎えだけでなく、参観日に出向くのも渡辺さんの役割だった。

幼稚園の担任の先生は、私が来ているのを見ても、普通に接してくれました。奇妙がることなく、不思議がることもありませんでした。

幼稚園への迎えや行事の参加は女性がするものという、アンコンシャスバイアスに基づく思い込みとは無縁な先生に「本当に救われました」という。

小西 一禎(こにし・かずよし)
ジャーナリスト 元米国在住駐夫 元共同通信政治部記者

1972年生まれ。埼玉県行田市出身。慶應義塾大学卒業後、共同通信社に入社。2005年より政治部で首相官邸や自民党、外務省などを担当。17年、妻の米国赴任に伴い会社の休職制度を男性で初めて取得、妻・二児とともに米国に移住。在米中、休職期間満期のため退社。21年、帰国。元コロンビア大東アジア研究所客員研究員。在米時から、駐在員の夫「駐夫」(ちゅうおっと)として、各メディアに多数寄稿。150人超でつくる「世界に広がる駐夫・主夫友の会」代表。専門はキャリア形成やジェンダー、海外生活・育児、政治、団塊ジュニアなど。著書に『妻に稼がれる夫のジレンマ 共働き夫婦の性別役割意識をめぐって』(ちくま新書)、『猪木道 政治家・アントニオ猪木 未来に伝える闘魂の全真実』(河出書房新社)。修士(政策学)。