カウンセラーは聞きながら何をしているのか
複数回に及ぶパワハラ行為者との面談で、聞き役に徹していると述べましたので、そのときに(話を聞きながら)していることについても、少しお話ししましょう。
話を聞いている時間は長いのですが、私は早い段階から、相手が「どのタイプの行為者か」を見定めるようにしています。
わかりやすくするために、ここでもたとえ話を用いましょう――「麺類を大きな不快な音を立てて食べる人」がいるとします。
①麺類を大きな音を立ててすする人の中には、自分がそれをしていることに気づいていない人がいます。【わかっていない人】
②自分がそうしていることは知っていても、気にしていない。それを別に気にしなくてもよいことと思っている人もいます。【気にしていない人】
③また、その行為を不快に思う人がいることを知っていても、関係ないとばかりに、周囲がイヤな気分になるのを気にしない人もいます。【人の気持ちがわからない人】
④さらに、周囲が不快に思うことに逆切れするように、注意されても止めようとしない人もいます。【逆切れする人】
⑤(①から④のいずれかに該当し、さらに)「この人に、その行為を止めさせるのは無理」と思える。そんな相手もいるでしょう。【話してもムダな人】
パワハラ行為者の5つのタイプ
パワハラの行為者もこれと酷似しています。
①自分の行為がハラスメントだと(まるで、あるいはほとんど)気づいていない人。【わかっていない人】
②パワハラ行為があっても、それは許容されることだと考えている人。【気にしていない人】
③相手が傷ついたり、周囲がどう思っても、気にしないか、むしろそれを楽しんでいる人。【人の気持ちがわからない人】
④注意をされても、それに逆切れし、パワハラ行為をやめようとしない人。【逆切れする人】
⑤(①から④のいずれかに該当し、さらに)自制ができない=パワハラ行為を止められない人。たとえば、すぐに怒り出して、言葉の暴力をふるうのを止められない。この人が「カーッとなる」のを防ぐのは無理と思える。【話してもムダな人】
(*①~⑤は、松崎久純「パワハラ行為者の分類 5つのタイプ その1」より)
目の前の行為者が、どのタイプに該当する人なのか。見分けるのは大事で、私から行為者に「ご自分ではどのタイプだと思いますか」と尋ねることもあります。
(複数に当てはまる人もいますが、)そのタイプにより、私から尋ねていく質問も変わるからです。