「してはいけない」と自覚すれば慣れていく

ご参考までに、行為者が⑤の「自制ができない」〔=話してもムダな相手〕である場合は、(もともと上司や周囲の人は、そのことを知っているものですが、)薬(=カウンセリングの効果)が長続きしにくいため、定期的な面談が必要になりがちです。

②~④のタイプの人たちは、どうすれば音を立てずに麺類を食べられるか。すなわち、スイッチが入りそうなときに、どうやってパワハラ行為を自制するかは、おおよそ自分でわかってはいるものです。

音を立てずに食べることと同様に、それまで試したことがなかったり、思うように上手くできない。そんなことはあるかもしれませんが、「してはいけない」と自覚できれば、次第に慣れていくことが期待できるものです。

次回は、「パワハラ行為者たちが考えていることの共通点」、「彼らの性格における共通点」について考察したいと思います。

松崎 久純(まつざき・ひさずみ)
サイドマン経営・代表

もともとグローバル人材育成を専門とする経営コンサルタントだが、近年は会社組織などに存在する「ハラスメントの行為者」のカウンセラーとしての業務が増加中。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では、非常勤講師としてコミュニケーションに関連した科目を受け持っている。著書に『好きになられる能力 ライカビリティ』(光文社)『英語で学ぶトヨタ生産方式』(研究社)『英語で仕事をしたい人の必修14講』(慶應義塾大学出版会)など多数。