会社にとっては「良い情報源」になりえる

特に、就職したばかりというのは、確かに大変な時期なので、会社だけでなく、家族も一緒に本人を支えていくのは、とてもいいことだと思います。「オヤオリ」「オヤカク」のように、子どもの就職や仕事に親が関わることに対して、ネットなどでは「過保護ではないか」と批判的な見方をされることがとても多いですが、私はこうした傾向は必ずしも悪いことではないように思います。

いまや上司のほとんどがプレイングマネジャーで、なかなか部下一人ひとりの様子を見ることができません。仕事の成果を上げながら、部下を育成し、メンバーのメンタルヘルスにも気を配るのは大変です。会社の方も、親の目や家庭からの情報に救われることがあります。家庭での様子や、メンタルヘルスの状態などを知るための良い情報源になりえるので、上手に頼って活用することを考えてみてください。

親の側は過干渉にならないよう見守る

ただ、子離れができておらず、過干渉から子どもの労働環境を心配し過ぎる親がいるのも事実です。親が過干渉だと、子どもは自分に自信が持てず、主体性や自主性がなくなり人の顔色をうかがってばかりになってしまうのも心配です。子どものことを一人の社会人として尊重し、心配な気持ちとバランスを取りながら見守るという姿勢が大切でしょう。

先ほどの事例のように、親からの情報で長時間労働が発覚するなど、プラスに作用することもありますから、親が行動を起こすことは非常識とはいえなくなっています。ただ、子どもの上司に直接連絡して怒鳴りこんだりするのではなく、気になることがあれば「心配なので相談させてほしい」といったスタンスで、人事総務課に連絡してみるとよいでしょう。

会社、上司、親という三者で情報共有し、そこがうまく回るようになると、子ども=従業員一人ひとりの健康や幸せのボリュームが、もっと上がっていくだろうと思います。