年収1000万円超でないと買えなくなる?

恐ろしいのは、価格高騰と金利の上昇がダブルパンチになった場合だ。

図表5にあるように、借入額が5000万円で、変動金利型の金利0.375%なら毎月返済額は12万円台だが、1.375%だと15万円台に、2.375%になると17万円台に増える。それに価格の上昇が加わると、たとえば、借入額を7000万円に増やさざるを得ない場合、金利0.375%でも、返済額は17万円台で、1.375%に上がっていると21万円台に、2.375%だと24万円台に増える。

必要な年収も増えて、条件によっては年収1000万円以上ないと買えなくなってくる。

金利水準が高い固定金利型だと図表6にあるようになおさら影響が大きくなる。

【図表】価格上昇+金利上昇と毎月返済額、必要年収の変化➁固定金利型

住宅ローン減税額も大幅に減少する

いまひとつ、2024年以降、税制面での特典が減少する。

返済期間10年以上の住宅ローンを利用してマイホームを買ったときには、住宅ローン減税制度によって所得税・住民税の還付を受けて、実質的に負担が軽減されるが、2024年以降は2023年に比べて減税額が少なくなる。

2023年入居だと、長期優良住宅や低炭素住宅だと年末ローン残高の5000万円まで控除対象だったが、2024年・2025年入居だと、子育て世帯などを除いて4500万円に減少し、2026年以降は未定だが、場合によっては一段の縮小や廃止の可能性もある。

2023年の最大控除額は、

5000万円(年末住宅ローン残高の限度額)×0.007(控除率0.7%)×13年(控除期間)=455万円

それが、2024年、2025年ではこうなる。

5000万円(年末住宅ローン残高の限度額)×0.007(控除率0.7%)×13年(控除期間)=409万5000円

最大控除額は455万円から409万5000円に45万5000円も減ってしまう。しかも、大規模マンションなどを買って、入居が2026年以降になると、さらに減額される可能性もある。

以上のように、マイホームの購入を考えるのであれば、さまざまな面で早めに準備を進めるのが得策になりそうだ。

山下 和之(やました・かずゆき)
住宅ジャーナリスト

1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に新聞・雑誌・単行本の取材、執筆、講演、セミナー講師など幅広く活動。著書に『2017-2018年度版 住宅ローン相談ハンドブック』『よくわかる不動産業界』など。