「例外」からすぐにできることを探る

「やめようやめようと思っていても、夫とはついケンカになってしまうんです。性格の不一致っていうんでしょうか。毎日のように言いあいになってしまいます」
カウンセラー「そうですか。ところで最近、例外的にご主人とケンカをしなかった日はありますか?」
「だいたい毎日ケンカしてますけど……先週の木曜日は、めずらしくケンカしなかったかも」
カウンセラー「その日の朝の様子を具体的に教えていただけますか」
「朝、夫は新聞を読んでいます。私がトーストを焼いて、それを夫が食べて、『このトースト、おいしいね』ってニコッと笑って言ってくれました。私は『うん』と言って、テレビをつけて、『○○さんのこの話、おもしろい』と、二人で目を合わせて笑いました」
カウンセラー「その中で、明日の朝、できそうなことは何がありますか?」
「テレビを見て、『この人の話、おもしろいね』って、夫のほうを見てほほ笑むことでしょうか。これなら明日もできると思います」
カウンセラー「ぜひトライしてみましょう!」

「最近、例外的に夫とうまくいっていたのは、いつでしょう? どんなことをしていましたか?」
「その中で、明日もできることには、どんなことがあるでしょうか?」

このように聞くのが、「例外探し」の方法です。

例外が見つからないときは「ミラクル・クエスチョン」

しかし、例外がうまく見つからないときには、「もし明日の朝、起きてみると奇跡がそこには起きていて……二人の関係が、劇的に改善しているとしましょう。二人の間には、もう、愛とハッピーしかありません。朝起きたら、どんなことをしていますか?」

このようにたずねることもあります。「ミラクル・クエスチョン」という方法です。

ソリューション・フォーカスト・アプローチの特徴は、

①原因探し、犯人探しをやめる
②「例外的にうまくいっているときのイメージ」「解決できたときのイメージ」を具体的に描いて語ってもらうことから、実行可能なことを見つけていく

ということにあります。夫婦間で言いあいなどのトラブルが絶えない、不満が募ってしまう、という人は、ぜひお試しください。

諸富 祥彦(もろとみ・よしひこ)
明治大学文学部教授

1963年福岡県生まれ。教育学博士。臨床心理士。公認心理師。教育カウンセラー。「すべての子どもはこの世に生まれてきた意味がある」というメッセージをベースに、30年以上、さまざまな子育ての悩みを抱える親に、具体的な解決法をアドバイスしている。教育・心理関係の著書が100冊を超える。