GHQは女性の意志による売春は禁止せず米兵の買春を黙認

田中絹代、高杉早苗の演技が評判を呼び、たちまち大ヒットとなった。占領下時代、映画はすべてシナリオの段階からGHQ民間情報教育局(CIE)の検閲を受けたが、この映画は売春・性病の問題を国民に広く認識させるためにとくにGHQが製作から“指導”し、推奨したのである。

ストーリーは戦争未亡人となり、子どもも亡くしたヒロインが「食べるため、世の中や男たちへの復讐のため」に娼婦になり、やがて性病に罹り、更生施設に入って改心するというもの。やや道徳じみてはいるが、溝口健二の演出と田中絹代の演技が光る。舞台は敗戦直後の大阪で、難波や心斎橋、天王寺あたりでロケされ、まだ空襲の跡も生々しい場面も出てくる。映画のシーンにはダンスホールでブギの歌が流れ、47年に笠置が歌ってヒットした「セコハン娘」を高杉早苗が歌う場面があって、女性たちのせつなさが漂う。