作曲の服部が「東京ブギウギ」の一番大事な歌詞も考えた
『サンデー毎日』1948年5月16日号「ブギウギ由来記」にはもう少し詳しく、「『ソラドミレドラ』というテーマメロディ」と「『リズム浮き浮き心ずきずきわくわく』という一種の語呂合せのような詞」が頭に浮かび、「歌詞も無いのに自然に、第二テーマに続くヴァリエーションが流れ出た」という。
そして「この一連の語呂合せのような詞を生かしてこのメロディに相応しい歌詞を書いてくれ」とコロムビアに出入りしていた鈴木勝に依頼する。禅をアメリカに広めた鈴木大拙の息子である鈴木勝については山田奨治『東京ブギウギと鈴木大拙』を参照されたい。クレジット上の作詞家は鈴木だが、「リズム浮き浮き心ずきずきわくわく」という決定的な一行が服部由来であることは重要だ。
1974年石川県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門はポピュラー音楽研究、近現代音曲史、アフロ・ブラジル音楽研究など。著書に『創られた「日本の心」神話「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』(光文社新書。第33回サントリー学芸賞、国際ポピュラー音楽学会賞)、『踊る昭和歌謡 リズムからみる大衆音楽』(NHK出版新書)がある。