人はつい「慣れ親しんだもの」を選んでしまう

ジョーダンの話が重要なのは、私もそうだったように、多くの人が「人生のパターンをきちんと理解できたら、二度と同じパターンを繰り返さない」と信じているからだ。「でも、そうじゃない」と説明するのが誰よりもうまいのは、人間心理学の博士号を持つ人間ではないだろうか?

ジョーダンは、自分の歴史を知っていた。自分が求め、必要としている温かさをくれる人たちを避ける傾向があることも。意図していつもと違う行動を取ろうとしても、おなじみのパターンに戻ってしまうのだ。それは、自分が「サポートされる価値のない人間だ」と思っているからではない。そう思っていたら、一人目の候補者を選んでいただろう。

また、(他人の行動を自分の世界観に合わせて解釈する)「確証バイアス」が原因でもなかった。

「確証バイアス」にはすでに対処していたから。問題の原因はおおむね、人間は慣れ親しんだものに引き寄せられるから、だった。

温かく接してくれる二人目の候補者をはねのけたのは、そこまでの優しさにはなじみがなくて、少々不安を感じたからだ。三人目の候補者は、書面上はほしいものをくれたし、ジョーダンの直感も「この人がいい」と告げていた。申し分のない相手に見えたのだ。

立って握手するイメージ
写真=iStock.com/metamorworks
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慣れ親しんだ状況がホッとする

あなたにも、こんな経験はないだろうか? たとえば、面接の部屋に足を踏み入れると、面接官がどこか姉に似た人物で、突然すべてがラクに感じられた。

あるいは、「いつもとまったく違う仕事/パートナー/コミュニティを見つける」と決めたのに、半年ほど経つと、どういうわけか新しい状況が前回とほぼ同じだと気がついた、などなど。サボタージュを克服する専門知識を身につけても、やはり同じ状況に陥ってしまったりする。慣れ親しんだ状況に身を置くと、人はたいていくつろげるのだ。すでに選ぶ道は決まっていて、その中で人や場所や物事を知っていく感じ。肩の力が抜けてホッとする。