※本稿は、神垣しおり『逃げられる人になりなさい』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
人づきあいで大事な2つのこと
人づきあいに苦手意識があったからこそ、コミュニケーションのとり方には試行錯誤を重ねてきました。
どちらもいまだに模索中で、答えがみつかったわけではありません。
しかし、どんな場面でも相手に敬意をもつこと。そして、普段からさりげない心遣いや会話の工夫を意識すること。この2つが大事だと感じています。
とくに、校長という立場になってからは、相手と打ち解けられる工夫を心がけています。経験上、生徒であれ職員であれ、校長と話すときは少なからず、気後れしたり身構えたりするのではないかと思うからです。
お互いを尊重し合うために適度な距離感を保ちつつも、あたたかな交流ができたらと思う日々。さりげない言葉遣いやまなざしの向け方ひとつにも、相手を包み込み、敬意や思いやりを込められたらと願っています。
ここからしばらく、私が心がけているコミュニケーションの工夫についてお話しします。
“間”を取るように意識する
お互いに好感をもち、心を開いて会話できるように、相手のタイミングをみて“間”を取るように意識しています。
話し方のペースは人それぞれで、マシンガンのように高速で言葉が出てくる方もいれば、一言ずつゆっくり考えながら話す方もいらっしゃいます。
どんな語り口の方とお話しするときも反射的に答えるのではなく、相手の反応をみながら、間合いを取って丁寧に会話をつなげます。そうすることで、お互いを理解する余裕が生まれるように思うからです。
とくに、勢いよくたたみかけるように話す方には、相手のペースについ引きずられ、「売り言葉に買い言葉」になってしまいやすいです。そんなときこそ、一呼吸おいて返事をすることを心がけています。