仲間割れに巻き込まれ板挟みに

友だちや知り合いが多いことが、一番たいせつだと思っていたのに、結果として、自分自身が疲れてしまうことになりました。友人同士の仲たがいもあったし、僕の言った言葉のせいで、仲間割れが起こり、「どっち側なんだ?」と板挟みになってしまうこともありました。

それどころか、僕はいちばん大事なものを失ってしまったのです。友だちとの関係を良好に保つために忙しくしているうちに、「自分と向き合う時間」をまったくなくしてしまったのです。それは、仲間割れによる苦痛と同じぐらい、僕にとって大きなストレスとなりました。

そして、僕は気づいたのです。「友だちをたくさん増やしても、いいことなんてない」のだと。

それからは、あえて、友だちから距離を置いて、一人の時間を増やし、自分自身と向き合うことをたいせつにするようにしました。

「TIME FOR ME」と書かれた紙
写真=iStock.com/celiaosk
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自分と向き合う時間の大切さ

引きこもるのではなく、一人でいられる自分をつくる。いわば、誰ともつながっていなくても平気な自分でいる。そして、誰かと一緒に、という考えを持たない。他人や社会に流されるのではなく、自分の人生を生きる。そのために必要なことはなにか。学ぶべきことはなにか。変えるべきことは何かを考えました。

かんたんではありませんが、そう考えるようになった僕は、自分自身の心がいでいき、だんだんおだやかになっていくのを感じることができたのです。

僕にとって、自分自身と向き合う時間を持っておくことが、どれほどたいせつなことだったのか、そのときに痛感しました。

誰でも子どものころには、自分の気持ちに蓋をして、無理やりグループに属したり、大勢の意見に合わせようとしたりしてしまいがちです。教室で、一人でいると「かわいそう」と思われるから、できるだけ群れようとしてしまいがちです。けれども、大人になると、一人でいることは、かわいそうなことでも恥ずかしいことでもないとわかります。

他人と群れずに、適度な距離感を保つことで得るメリットは、心をおだやかにできることだけではありません。ひとに対し、誠実な態度を取れるようにもなります。ここちのよい距離感を保つことで、さまざまなストレスは減っていくし、自分を見失わず、心がおだやかな状態を保って築く人間関係のほうが、長く続いていくのです。