鉄不足とタンパク質が不足して、朝起きづらくなることも

血液検査の結果から、姉妹の栄養状態を見てみましょう。

【図表1】Cさん・Dさん姉妹の血液状態
出典=『朝、起きられない病』(光文社新書)
タンパク質

タンパク質指標となるBUNを見比べてみましょう。BUN(尿素窒素)は18~20あたりが目標値となるため、姉のCさんの2年生の時の値は17と、まずまず良好です。ところが、調子が悪くなった5年生では11.8に低下しており、タンパク質摂取不足が明らかになっています。

一方、妹のDさんのBUNは3年生の時点で9.1と、非常に低い値を示し、姉よりも重症の栄養失調の状態であることが分かります。

BUNは通常は腎機能や脱水傾向を調べるための指標で、一般的な基準値は幅が広いのですが、栄養の視点からは基準が異なります。

バランスのとれたダイエット食品
写真=iStock.com/Daniel Megias
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ビタミンB不足はメンタルと集中力の低下につながる

ビタミンB

ビタミンBの目安となるGOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)は、「20以上」であることと「GOT≒GPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)」であることを目標とします。Cさんが2年生の時はGPTが14とやや低く、調子が悪くなった5年生のときはどちらも値が低くなっています。タンパク質不足とビタミンB不足はたいてい一緒に起こります。

妹のDさんは、BUNが姉のCさんより低値であったため、タンパク質不足は姉よりも強いと考えられました。そこから、ビタミンBも同様に低いと推定されましたが、GOTやGPTは姉よりも高めでした。この数値だけを見ると、ビタミンB不足は一見、軽いようにも思われます。しかし、「タンパク質摂取が少ないのにビタミンBだけ充足している」ということは考えにくいため、私はビタミンBも不足していると考えて対処すべきだと考えました。

検査数値の読み方は、基準との単なる対比ではなく、横断的に考えて合理的な説明がつくように解釈することが大切だと考えます。

ビタミンBは細胞がエネルギーを使う際に必要なため、不足していると細胞はエネルギー不足に陥ります。全身の細胞のエネルギー不足ですので、身体的にも頭脳・メンタル面でも、その人本来の能力を発揮することができなくなります。疲れやすかったり、頭痛や腹痛、腰痛といった痛みとして現れることがありますし、集中力が落ちることにもなります。

そのため、姉妹はそろって朝起きて学校へ行くエネルギーを失い、かんしゃくを起こすことになったと推測できます。