女児は初潮をきっかけとした不調に注意

今西康次『朝、起きられない病』(光文社新書)
今西康次『朝、起きられない病』(光文社新書)

Cさんは、2年生の頃の起立性調節障害とかんしゃくについては、質的栄養失調が主な原因でしたが、軽度だったために早期に改善しています。しかし、5年生で生理が始まったのをきっかけに、徐々に同様の栄養不足が悪化し始めました。二次性徴が始まったために、体が必要とする栄養が急に増していくことで、食事からの栄養補給が間に合わなくなってきたことを意味します。経血で失われるのは鉄だけではなく、タンパク質も同様です。

特に、女子は二次性徴が始まる頃からの数年間が、人生で一番エネルギーを多く必要とする時期です。高栄養を意識していないと、容易に栄養不足になってしまいます。

姉が通った道は、同じ食事をしている妹も同様に歩む可能性は高いといえます。実際に、妹のDさんも、小学校低学年で質的栄養失調に陥りました。このまま初潮を迎えれば、また姉と同様の不調が高確率で起こるでしょう。本人と親御さんにそのことについてお伝えしつつ、今後も栄養状態をフォローしていく予定です。

今西 康次(いまにし・やすつぐ)
小児科医

1961年京都府生まれ。名古屋大学理学部地球科学科卒業。外資系企業にエンジニアを12年間勤務した後、大分医科大学医学部医学科を卒業。中部徳洲会病院、聖路加国際病院小児科に勤め、南部徳洲会病院小児科部長を務めた後、沖縄市に「じねんこどもクリニック」を開業。著書に『ダイエット外来の減量ノート』(筑摩書房)がある。