書き出すことで不安が明確になる

子どもがいない30代後半の女性から「この先、老後が不安」だと打ち明けられました。私は30代後半で同居していた祖母の在宅介護を終え、当時はまだ自分の老後についてまで考える余裕がありませんでした。

小山朝子『自分で自分の介護をする本』(河出書房新社)
小山朝子『自分で自分の介護をする本』(河出書房新社)

例えば、子どもがいない夫婦が不安に思うことのひとつに相続があります。亡くなった側の親が健在なら配偶者と親、親が亡くなっている場合は配偶者と兄弟、兄弟が亡くなっている場合は配偶者と甥・姪とで遺産分割協議をする必要があります。遺産分けによる争いを避けたい場合は遺言を残すことで配偶者に財産のすべてを残すことができます。遺産分割協議をする必要もなく、残された配偶者の手続きの負担も軽くなります。

不安の内容は人それぞれ異なります。ひとり老後の準備をするためにまず始めることは、自分にとって不安なことは何かを具体的に書いてみること。書くことで自分がいだいていた不安が明確になります。それらを少しずつ調べたり、行動に移してみることで「いま」すべきことがわかり、解決の糸口を見出すことができるでしょう。

小山 朝子(こやま・あさこ)
介護ジャーナリスト、介護福祉士

小学生時代は家族を支える「ヤングケアラー」で、20代からは洋画家の祖母の在宅介護を担う。現在は介護ジャーナリストとして活動を展開。この間、高齢者・障害者・児童のケアを行う全国の宅老所などを取材。2013年より東京都福祉サービス第三者評価認証評価者として、「生活介護」、「就労継続支援A型・B型事業所」などで調査・評価活動も行ってきた。日本在宅ホスピス協会役員、日本在宅ケアアライアンス食支援事業委員、All Aboutガイドも務める。著書に『世の中への扉 介護というお仕事』(講談社、2017年度厚生労働省社会保障審議会推薦 児童福祉文化財)、『ひとり暮らしでも大丈夫! 自分で自分の介護をする本』(河出書房新社)など。