結婚しても「子どもをもたない」という選択
子どもがいない女性が増えたと感じます。この感覚は調査でも実証済みで、経済協力開発機構(OECD)のデータベースによると1970年に生まれた女性の50歳時点での子どもがいない割合は27%(2020年)。先進国のなかでも日本は最も高い割合です。
さらに厚生労働省が発表した2022年の人口動態統計によると出生数は77万747人で初めて80万人を下回り、女性1人あたりの子どもの数を表す合計特殊出生率も1.26で過去最低となりました。
昨今の出生数の低下はコロナ禍による婚姻数減少の影響もあるとされていますが、2015年までは「結婚したら子を産む派」の割合が高かったのです。しかし、2016年以降は結婚した人も子を産まなくなってきたという分析もあります。
欧米を中心に「チャイルドフリー」という考え方が注目されています。子どもを持たない人生を充実したものだと考える人たちを指す言葉です。これからは多様な価値観に対応したシニア向けのサービスも増えていくかもしれません。
「死亡年齢最頻値」をふまえて老後のひとり暮らしの想定を
長年にわたり介護施設などに出向いて取材や調査をしていますが、近年、90代や100歳を超えた女性とお話しすることが珍しいことではなくなってきました。これまでお会いしたなかで印象深いのは、元看護師と元教師だったおふたりです。私がお会いした当時、前者の女性は104歳、後者の女性は102歳で、ともに私の質問にハキハキと応じてくださったのを覚えています。
ところで、みなさんは「死亡年齢最頻値」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。厚生労働省の簡易生命表データのなかで「最も死亡者数が多かった年齢」のことで、2020年の死亡最頻値は、男性88歳、女性93歳になっています。一方、平均寿命とは0歳時点での平均余命のこと。この数値のなかには若くして亡くなる人も含まれているため、「死亡年齢最頻値」の年齢のほうが現実的かもしれません。
100歳超えの可能性もあり得る現在、ひとりで暮らす期間は想像以上に長くなるかもしれないことを想定しておきたいものです。