元本払戻金の大きな問題点とは

普通分配金は、もらえれば得をします。利益ですから税金もかかりますが、NISAでは非課税で受け取れます。

元本払戻金はもともと、自分が積み立てたお金です。もらっても得でも損でもありませんから、税金もかかりません。

「もらっても得でも損でもないなら、とくに問題ないじゃないか」と思われるかもしれませんが、問題はそのあと、投資信託が値上がりしたときにあります。

例えば、似たような投資先・資産に投資する投資信託AとBがあったとします。

投資信託Aは元本の1万円を取り崩さないものとし、投資信託Bは元本の1万円を取り崩して5000円になったものとします。

この2つの投資信託が、ともに10%値上がりしたとき、投資信託Aは1万1000円と、1000円増える結果になりますが、投資信託Bは5500円、つまり500円しか増えない結果となってしまいます。

言い換えれば、投資信託Bの場合、投資信託Aに投資した人より500円損しているということです。投資信託の元本が少なくなってしまうと、値上がりしたときの恩恵も少なくなってしまいます。

電卓で計算する税理士の手元
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「隔月分配型」はなぜ新NISAの対象になったか

頻度高く分配金を受け取ることで、「複利効果が得られず効率的にお金が増やせない」というのが大きな理由で、新NISAでは除外されたというわけです。

なお、毎月分配型は、購入時手数料や信託報酬といった手数料が高く設定されているのも問題です。毎月分配型の信託報酬は年1%以上の商品が多く、中には年2%以上と高い商品もあります。

もし、金融機関が毎月分配型を勧めてきたら、手数料目当ての可能性が高いでしょう。高い手数料を払いながら、自分の資産を取り崩し続けるのは、おかしいですよね。

ちなみに、新NISAで「毎月分配型」は除外されたのに、「隔月分配型」は対象となっています。

隔月分配であっても、毎月分配と同様に、元本払戻金で分配しているケースもあり、同様に資産形成には向かない商品ではあります。毎月分配型と同様に、購入時手数料や信託報酬といった手数料も高く設定されています。

金融庁のメスが中途半端であるなと感じる点です。隔月分配型も資産形成には向かないのですから、やるなら徹底的にやってほしいものです。