親自身がメンタル不調を感じたら
親のメンタルが本当に崩壊しそうなときは、親自身が治療を受けなければならないかもしれません。自分はちょっとうつかな、と感じたら、こじらせる前に心の相談や治療のできる精神科医や心療内科に相談に行くという手段もあります。
ただ、そういった主治医を必要とする親御さんには、そうめったに出会いません。
そもそも子どもの登校しぶりをめぐる葛藤を、我々のような児童精神科医やカウンセラーが話すこと自体が、親の支えになります。
ですから子どもの不登校に揺れる親は自分の主治医を探す前に、地域の教育センターや教育相談所など子どものことを相談できる地域機関、あるいは児童精神科などの医療機関を見つけることのほうが大切かもしれかもしれません。
シングル親はパートナー選びは慎重に
もしも支え合えるパートナーがいないシングル親の場合は、どうしたらよいのでしょうか。卒直にいうと、シングル親はけっこう複雑なミッションになることを承知しておく必要があります。父親役と母親役、両方を適宜使い分けていかなければなりませんから。
ただシングル親というと、母親が引き取っているケースが多く、シングルマザーとして、お母さんの役割だけでなくときどきお父さんの役割を担う必要があります。
再婚して自分を支えてくれるパートナーができると理想的に思えますが、それも相手がまともなパートナーであれば、という話です。そのパートナーが成熟した人間であるかどうか、父親役を引き受けられる人間かどうか、その見極めは非常に重要です。
特に女の子を抱えている場合、継父は性的虐待のリスクの一つでもありますから、本当に人柄をじっくり見ないと、パートナーにふさわしいかどうか簡単には判断できないと思います。
そのパートナー役というか父親役割は、母親の父親(祖父)や兄弟(伯父・叔父)が担うこともできます。こうした親族の近くに住んで、こうした人たちがシングルマザーを支えるケースはたくさんあります。あるいは地域の相談機関や医療機関が担えることもあります。
くれぐれも子どものためという目的でパートナーをつくるということはやめたほうがいいでしょう。たいていは失敗します。そうなると問題は、子どもの不登校ではおさまらなくなると知っておいてほしいです。
千葉大学医学部卒業。国立精神・神経センター精神保健研究所児童思春期精神保健部長。独立行政法人国立国際医療研究センター国府台病院精神科部門診療部長。恩賜財団母子愛育会 総合母子保健センター愛育病院小児精神保健科部長を経て現職。松戸東口たけだメンタルクリニック医師