結婚しない若者が増えているのは経済的な問題だけじゃない
未婚率上昇の理由の一つに挙げられているのは、若者の貧困と言われています。確かにこれも一因でしょうが、若いときにお金がないのは、昔からそうでした。おそらく結婚して共稼ぎをしたほうが、生活は楽になるようにも思います。
私は大学の教員をしていて、多くの若者(主に理系男子)と接しており、彼らの状況について大方理解しているつもりです。経済的には決して余裕があるというわけではありませんが、それが結婚できない(しない)第一の理由ではないと感じます。結婚云々よりも、その前に彼女がいない人が多いです(図表2)。
それも交際相手が欲しくてもできないというより、作ろうとしない人も少なからずいます。なぜ作らないのか尋ねると、次の3つの理由がよく聞かれます。
2)理想の人が周りにいない
3)一人でいるのが好き(面倒くさい)
若い男女が恋人を作らない3つの理由
これらは調査会社が調べた結果(図表3)とも大体同じです。それぞれ分析してみます。
1)作りたいけれど勇気がない
図表3の1位、3位とも重なります。これは昔も今も変わりませんね。お酒の力を適度に借りたり、友達に助けてもらったりして、なんとか頑張ってもらうしかないです。まず男女が仲良くなれる雰囲気作りが重要です。昔はテレビで告白するような番組もあり、それを真似したイベントなどは学園祭の定番でした。今は出演者がSNSで中傷されたり、個人情報などの問題があり、なかなか難しいようです。
2)理想の人が周りにいない
図表3の4位と重なります。アイドルやアニメの主人公にすごく憧れていたりすると、身近な人の良さがわかりにくくなってくるのかもしれません。身近な人と深く関われば、「リアルの良さ」が見えてくると思います。とりあえず友達として1回お付き合いしてみるのも、世界が変わるきっかけとなるかもしれません。
3)一人でいるのが好き(面倒くさい)
図表3の2位と重なるのかもしれません。ゲームやたくさんの「面白いもの」に囲まれているジュニア世代には、恋愛は、もはやあまり刺激的なものではなくなってしまっているのでしょうか。これは、社会的には大変重大な問題です。つまり生殖意欲の低下を意味しており、生物学的な「有性生殖の終わり」の始まりに向かっているのです。少子化はもとより、家族のかたちもそれを基盤とする社会のかたちも変えてしまうかもしれません。