無表情で受身型であることを何とも思っていない

専門家の私から見ると、これらの事柄は、パンデミック以前から指摘されていたことで、パンデミック前の新入社員と大きな違いはないものの、以下の2つの点は確かに目立ちます。

1つは「無表情」な新入社員が多いことです。人の顔をじっと見て、指示や反応を待っていることが多いのです。

無表情な人というのは昔からいます。接客業であれば考えにくいと思いますが、技術系の職種の人材などには、めずらしくありません。

この「無表情」とは、「愛想がない」ことを意味します。

しかしながら、ここで取り上げている新入社員の「無表情」とは、「愛想がない」こと以外にも、「受身型」であることを意味します。

彼らは、様子をうかがって、人から何か言われるのを待っています。指示を待ち、他の人の様子や反応を見てから行動します。

自発的に自分から声を掛けて何かをしようとはしない。

たとえば、研修を行っている部屋の換気をしようと、全体に声を掛けるような人は、なかなか現れないのです。

彼らは、自発的に考えて行動するように言われて、はじめて自発的に考えて行動しようとします。

受身型の新入社員が多いのも、今はじまったことではありませんが、パンデミック後の特徴は、このように無表情で愛想がなく、そして受身型であることを「特に何とも思っていない人が増えた」ように見えることです。

白い仮面を着用したビジネスパーソン
写真=iStock.com/bee32
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叱られるとすぐに言い訳してしまう

もう1つは、注意を受けたり、叱られることに慣れていない人が多いことです。彼らは、やはり人と接する機会が少なかったのだろうと思えます。

人とコミュニケーションを取る、すなわち社会性を身につけるためにアルバイトをしたり、課外活動に参加したりする。そうした経験が乏しかったという印象を受けます。

同じ新入社員でも、スポーツをやっていた人には、こう感じることは少ないのですが……。

彼らは特徴として、注意を受けると正当化しようとします。

彼らは、「声が小さい」と言われると「のどが痛いので」と言います。グループワークの最中に、立ち上がって飲み物を飲んでいるので注意すると、「熱中症気味だから」という具合です。

本当のところは、確認のしようがありませんし、どちらであっても注意することに変わりはありませんが、ともかくまず注意を受けたことについて謝ればいいものを、言い訳をし、自分に落ち度はなかったと述べようとします。