体の一部だけ日焼け止めを塗らずにビタミンDをアップ
ビタミンDを産生するためにもっとも手軽な方法は、日光に当たることです。しかし、女性の多くは紫外線を浴びることへの抵抗感もあるでしょう。
そのため例えば、顔や首はしっかり紫外線対策をして、腕や脚の一部は日焼け止めを塗らないといった方法で、ビタミンDを増やすことができます。1日数分でもいいので、外出をして日光に当たる時間をつくってみてください。
ビタミンDの摂取には焼鮭定食、シラスごはんを
ビタミンDが豊富な食べ物には、サケや干しシイタケ、シラスなどが挙げられます。日本人の食事摂取基準(2020年版)では、男女ともに1日8.5µgを目安に摂取することがすすめられています。
サケは1切れ(80g)で25.6µg、サンマ1尾(正味100g)で14.9µg、シラス干し大さじ2(10g)で6.1µg、干しシイタケ2個(6g)で0.8µg、乾燥キクラゲ2枚(2g)で1.7µgとなっています(公益財団法人骨粗鬆症財団「ビタミンDを多く含む食品」)。
週に2~3回からでもいいので、焼鮭定食を食べる、ごはんにシラスをかけるなど、食事で工夫をしてみましょう。食べ物で毎日十分な量を摂取するのが難しい場合は、無理せずビタミンDのサプリメントを活用するのもおすすめです。
また、年齢を重ねても活動的に過ごすには、骨の強さに加え、筋肉量の維持も大切です。そのため日頃から、肉や魚、卵、豆腐といったタンパク質をしっかり摂り、筋肉を減らさない食生活を心がけましょう。
骨量は20~30代をピークにゆるやかに低下
カルシウムの吸収を高めて、骨の健康を維持するビタミンD。骨そのものに作用をして、骨の細胞を増やす働きのほか、反対に破骨細胞と呼ばれる骨を溶かす働きを抑制することもわかっています。
骨量は20~30代でピークを迎え、それ以降はゆるやかに低下していきます。低下するスピードが速いか遅いかは、現在の生活習慣がカギを握っています。
ビタミンD不足による骨の老化はほとんど自覚症状がなく進み、肌や髪の老化、体型の変化と違って目には見えないものです。「まだ先の話だから」と思わず、ビタミンDの力を味方につけて、力強く若々しい骨を今からめざしましょう。
構成=釼持陽子
医師、公衆衛生修士、医学博士、日本内科学会認定医、日本リウマチ学会専門医、日本リウマチ学会評議員、日本体育協会認定スポーツ医、全日本剣道連盟認定帯同医。1974年生まれ。99年東京医科歯科大学医学部卒業。2011年の東日本大震災をきっかけに、災害公衆衛生を学ぶ。13~17年まで、福島県相馬市に移住し現地で医師として勤務。リウマチ、災害医学、公衆衛生、臨床検査医学等が専門。22年より、東京慈恵会医科大学臨床検査医学講座教授、附属病院中央検査部部長。