作ろうとしているのは自分の子を入れたくなる会社ではないか

「TOBEは夢の国」と説明し「タレントがタレントらしく(活動し)、プラスアルファで自分の意思をのせてファンの皆さんに届ける。それを軸に考えてやれることはやっていくのが一番の思い。タレントのため、ファンのためにそれぞれの感情を成立させるのがTOBEの役割だと……。失敗もするだろうし、最初から上手くいくとは思ってない」と語っていた。毎回、なによりもファンの応援が頼りだというメッセージも発信している。

これらの発言から判断すれば、業界の大物的な後ろ盾はいない。TOBEを「ジャニーズ2号店」と揶揄する声もあるが、これまでのジャニーズ事務所の独占的なやり方を見てきた筆者たちからすれば、2号店を出せたこと自体が奇跡なのだ。

この「滝沢秀明の乱」に、被害者からの告発が続いている故・ジャニー喜多川氏の性加害問題はプラスにもマイナスにも影響を与えているだろうし、喜多川氏の後継者と目され、後輩たちを率いる立場だった滝沢が性加害問題において責任ゼロかというとそうではないだろう。

それでも、タッキーが作ろうとしている「夢の国」は、自分の子が入ってもいいと思えるような、不自由さや理不尽やしがらみのない場所なんだろうなと考えれば、やはり応援したくなる。TOBEが行ったオーディションにたくさんの少年たちが参加する姿も公開された。このタイミングで同じように、芸能界とテレビ業界、雑誌業界が旧態依然とした縛りから抜け出すのを祈るばかりだ。

TOBEが行っている子ども向けオーディションの風景 出典=TOBEのYouTube公式チャンネルより
村瀬 まりも(むらせ・まりも)
ライター

1995年、出版社に入社し、アイドル誌の編集部などで働く。フリーランスになってからも別名で芸能人のインタビューを多数手がけ、アイドル・俳優の写真集なども担当している。「リアルサウンド映画部」などに寄稿。