これまで経験した苦労を次世代にはさせたくないという思い
「もし子供がいたら、芸能界に入れるか? 答えはノー。絶対に入れない。芸能界は良いことばかりじゃないからね」
そう言ったタッキーこと滝沢秀明の表情が忘れられない。10年ほど前、よくあるアイドル雑誌の一問一答式インタビューだった。適当に答えてサラッと流してもいい質問に、彼は質問したこちらがスルーしにくい正直な回答をした。
そのとき、彼の顔には悲しみや怒りが浮かんでいたわけではなく、世の中そんなもんだというある種の割り切りと、今の状況は不幸でもないけれど、ここに至るまではしんどいこともあったから、その重荷は次世代には背負わせたくないという責任感が読み取れた。
平成から令和になり、その取材時には想像もできなかった事態になっている。タッキーが、ジャニーズ事務所を退所して1年足らずで新会社「TOBE」(トゥービー)を設立し、強大なジャニーズ帝国を相手に「滝沢秀明の乱」とでも呼ぶべき動きを始めたのだ。
元キンプリの平野紫耀、神宮寺勇太が異例の速さで合流
TOBEはYouTubeを発表の場として続々と所属タレントを告知。滝沢とはもともとユニットを組んでいた元V6の三宅健はともかくとして、人気絶頂の5人組King & Princeから、平野紫耀、神宮寺勇太の2人がジャニーズ退所からわずか45日後という異例の速さでTOBEに加入したのには驚いた。
ジャニーズを辞めた人間がジャニーズのタレントをマネジメントする(自社のタレントとする)のは業界のタブーである“引き抜き”と見なされ、SMAPメンバーの3人を元マネージャーが独立させたという例外を除いては、前例がなかった。ましてや、7月14日にTOBEへの加入が発表された元IMPACTorsのようにグループ全員でというのは前代未聞だ。
これまでの主な動きを簡単にまとめておこう。