「今の会社への不満が原因で辞めた」はNG

たとえば、「確かに現職では顧客に恵まれ、高い実績を残すことができました。続ける道もありましたが、元々志望していた○○の方向に進むべく退職を決意した次第です。

確かに転職には不安もありますし、周りからももったいないと言われていますが、この先○○で食べていくという決意は固く、1年前から準備してきましたので、決意は揺るぎません」と、現職の良さを認めた上で、前向きで先を見据えた自身の計画に基づく退職なんだということを語ってください。

なお、「いや、私の上げてきた実績からすると、とても厚遇とは言えないですよ。だからもっと評価してくれる~」といった不満に基づく退職理由は控えましょう。

たとえばこういう人の場合

29歳男性、大卒。新卒入社した会社で勤務中。今回は2社目の転職で、異業種・異職種への応募。

NG!
営業職として、今以上のキャリアアップを図るためです。

↑抽象的なので「何か不審な点を隠す意図があるのか?」と勘繰られてしまいます。

OK!
確かに、それなりの実績も上げてこれましたし、給与や休みも競合他社より多く、待遇も良いと思います。
転職活動をするほど、これを実感します。
しかし父と兄が一級建築士の仕事をしている関係で、前々から住宅に関わる仕事に就きたいという思いが強くありました。
異業種にチャレンジできるのは30歳までと言われていますから、今しかないと考え現職を辞めることにしました。
もともと安定志向があるわけでもなく、待遇の良さで進路を決める性格でもありません。念願の職業に就けるなら、条件はゼロからのスタートでもかまわないと思っています。

↑謙虚に前職の恵まれていた実情を語りつつ、自分のキャリアへの思いにシフトして退職に至る経緯を丁寧に説明できています。

あなたのその思いは転職しなくても、現職の社内異動で実現できますよね?

【面接官が知りたいのはココ】
「社内異動を試みたがダメだったので転職」はNG
当社の応募職種への熱い思いを聞かせてほしい

たとえば「営業から広報へ」というように、違う職種への転職を志望した場合に、こうした質問が出されます。

中谷充宏『20代~30代前半のための 転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)
中谷充宏『20代~30代前半のための 転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)

最大のポイントは、「社内異動を試みたが叶わなかったので、やむを得ず御社を志望」という流れは絶対にNGということ。単なるその職種志望ではなく「御社でその職種に就きたい」ということをPRしなければなりません。

だから額面通り受けて「そうなんですが、何度社内異動の希望を出しても叶わなかったのですよ」と、そのまま伝えたらダメなのはお分かりでしょう。それよりも、「私がやりたいのは、御社の○○職であって、○○職であればどこでもいいわけではありません。今、御社は経済発展著しいインドで事業を展開し、その中でも成長分野に特化した製品を次々と投入しています。その躍動感、ダイナミズムを感じられる中に身を置き、私も○○職として、御社とともに成長していきたいのです」というように、応募企業に焦点を置いて、熱い思いを語ってください。