なぜ広末涼子を無期限謹慎処分にする必要があったのか
女優の広末涼子さんが既婚者でありながら、同じく既婚者で料理人でフレンチレストランオーナーシェフである鳥羽周作氏と恋愛関係にあることが分かり、週刊誌を中心に「不倫」と騒がれています。
不倫がマスコミに知れて数日後、広末涼子さんは今後のドラマや映画などの出演を降板し、「無期限謹慎」の処分を受けました。一方で相手とされる鳥羽周作さんは今まで通り仕事を続けているようです。
「広末涼子が無期限謹慎処分になったのだから、婚外恋愛の相方である鳥羽周作氏もレストランを閉鎖しろ」と言いたいわけではありません。むしろ問いたいのは、なぜ広末涼子さんを無期限謹慎処分にする必要があったのか、という点です。
広末さんの恋愛が発覚してから、SNS上では彼女を擁護する声もあるものの、彼女の行為を非難する理由として「子供がかわいそう」というコメントをよく見かけます。なかには「外で男に抱かれた汚い体で子供と接するなんて、子供がかわいそう」とご丁寧にも理由を詳細に書いたものまでありました。根底にあるのは「母親になった女性は、母親としてふさわしい行動をするべき」「母親らしくない行動をするのは許されるものではない」という昔ながらの考え方です。
「母親が不倫なんて子供がかわいそう」の大合唱に疑問
6月11日に広末さんの夫であるキャンドル・ジュンさんが震災の月命日にキャンドルをともすイベントCANDLE 11thのスピーチで、長男について「小さい子たちの面倒を見ていて大変なのに、福島の人たちに対して気遣いのできるカッコいい長男になってくれました」と語ったことで、世間ではさらに「母親である広末さんがなぜ幼い子供たちの面倒を見ていないのか」といった非難の声が聞かれます。しかし子供たちの親は母親の広末さんだけではなく、父親であるキャンドル・ジュンさんも「親」であるわけです。長男が下の子供たちの面倒を見るという状況を打破するために「父親がなんで子供たちの面倒を見ないのか」といった批判があってもいいはずですが、そういった声は大きなうねりとはなっていません。
つまり今回の騒動は行為そのものへの批判というよりも、「お母さんという立場であるにもかかわらず、それにふさわしくないことをした」という批判なのです。そして批判の際に「子供」が使われるため、「子供がかわいそう」の大合唱となるわけです。