ドイツでは1977年に「不倫をしたから有責」がなくなった

というのもドイツでは1977年に離婚法が変わり、不倫をした配偶者を罪に問うことはできなくなりました。それまでは、浮気や不倫をした側が離婚の際に元配偶者に対して収入に見合わないほどの大きな金額の慰謝料を払わされたり、浮気や不倫をしたという理由から親権が得られないことがありました。

しかし1977年に離婚法が有責主義から破綻主義に変わったことで、不倫や浮気などの恋愛沙汰は罪や責任の問題ではなくなりました。いわば「単なる大人の恋愛沙汰」と見なされるようになったわけです。

よって現在のドイツでは片方の不倫のよって夫婦げんかが絶えなくなったら、それは誰が悪いという話ではなく、夫婦関係が破綻しているのだから、一定の別居期間を設け裁判所を介した上で離婚をするというシステムになっています。その夫婦に子供がいる場合、離婚後も父親と母親がなるべくたくさんの時間を子供と過ごすのが良いというのが社会の共通認識です。

子供3人の父親が全員違うドイツの人気女優の例

たとえばドイツで人気のテレビドラマに数多くの出演歴のある女優ムリエル・バウマイスター(Muriel Baumeister)さんには3人の子供がいて、全員父親が違いますが、同氏は「子供たちの父親は3人とも育児を積極的にしている。手伝うだけではなく本当の意味で子育ての役に立っている。3人と良い関係が築けていることを幸せに思う」と語っています

彼女は子供たちの父親と同居していませんが、子供たちがいつでも父親に会えるように全員が近場に住むようにしているといいます。子供たちの父親は全員ドイツの芸能関係者ですが、ドイツのメディアはそのことを特に批判的に取り上げてはいません。世間から「子供がかわいそう」という声も聞こえてきません。

メディアや世間が芸能人に何を求めるのかという姿勢が問われています。芸を求めるのなら演技力や作品に注目すべきですが、日本では特に女性の芸能人に対して「私生活が品行方正であること」を求めるからおかしな方向に行きがちなのではないかと感じています。