老後に向けた家の整理はいつから始めるのがいいのか。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんは「50歳になったらとにかく捨てること。一人で30平米(一部屋)で生活するくらいの量にダウンサイジングするといい」という――。

※本稿は、井戸美枝『親の終活 夫婦の老活 インフレに負けない「安心家計術」』(朝日新書)の一部を再編集したものです。

机の上に雑然と散らばったものを、両手でざっくり移動させようとしている女性
写真=iStock.com/shironosov
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50歳からは「とにかく捨てる」

自宅の荷物を整理したい、納戸の物を捨てたいと思っていても「時間があるときにやればいい」と、後回しにしているうちに、部屋のなかが物であふれかえっていませんか?

新型コロナで緊急事態宣言が出て、外出ができなかったとき、家のなかの整理をした方も多いでしょう。例えば、子どもたちが着ていた洋服や学校からもらった賞状などの記念品、子育ての思い出が詰まっている物、これらは写真に撮って残しておきましょう。自分の将来を考えて、「使わない」と思った物、子どもたちに遺しても迷惑をかけると思う本やレコード、CDなど趣味の物は自分で捨てておくようにしましょう。物を片付けてから、生活習慣を見直すとやめてもいいことが見つかってきます。ストレスになる人間関係も少しずつフェードアウトしていくと心身ともにスッキリしていきます。

「30平米」の生活に適応させていく

まずは、一人で30平米(一部屋)で生活するくらいの量にダウンサイジングしましょう。手をつけるのは収納、クローゼットです。「そのうち着る機会があるかもしれない」と、一度も袖を通したことがない洋服や、試着してぴったりだったけれども実際に履いて歩くと合わない靴、気がつくと似たような柄のアイテムをいくつも持っていたシャツやスカートなどで、クローゼットがぎっしり詰まっているケースが多いと思います。

着る物、履く物を厳選します。私は、重いコート、ヒールの高いパンプス、丈の短いスカートやワンピース、高価だったので捨てられず「そのうち着る、履く」と言いつつも、使わない似合わないものをすべて処分しました。

また、使わない食器や鍋、フライパン、食品密封容器、本、CDなどの置き場に困っている人もいるのではないでしょうか。