「骨端線」が残っていればまだ伸びる

身長がまだ伸びるのか、止まってしまったのかをはっきり知りたければ、骨端線こったんせん(成長線ともいう)がまだ残っているのかどうか、レントゲンを撮って確認しなければなりません。

骨端線とは、骨が細胞分裂する成長軟骨層の部分がレントゲンを撮ると、線になって見えるもので、この骨端線が残っていれば、まだ身長が伸びる余地があるということになります。

【図表3】子どもの骨と大人の骨
小林正子『子どもの異変は「成長曲線」でわかる』(小学館新書)より

私は研究のために、朝夜の1日2回を5年間、自分の娘二人の身長、体重、座高を測り続けていましたが、次女はとても協力的で、小学4年生から中学3年生になるまで、いつ大きくなるのかなぁと楽しみにして、おとなしく測らせてくれていました。ところが大きな身長スパートが見られず、年間6cm程度の伸びが続いていたので、私は「今に伸びる」「今にきっと大きくなるよ」と言って鼓舞し続けました。けれども中学3年生の初めに遅めの初潮が発来した後、伸びが止まってしまい、次女は、もう私にかまわないで! と言って、測定しなくなってしまいました。

こんなことから高校時代は親子関係が悪くなり、身長も伸びないので内心とても心配していたのですが、大学生になって家を出て、夏休みに帰ってきたときに、あれ? 背が伸びている! と思ったのです。次女も気をよくしていたので測らせてもらったところ、なんと3cmも伸びていました。ということは、骨端線は閉じていなかったのです。もしかして、精神的に大きなストレスがかかって身長の伸びがストップし、家から解放されたとたんに伸びたのかもしれません。恥ずかしながらこんな例もあるのです。

伸びている時期を大切にする

小林正子『子どもの異変は「成長曲線」でわかる』(小学館新書)
小林正子『子どもの異変は「成長曲線」でわかる』(小学館新書)

それでは、もし身長がまだ伸びるかどうかを確かめるには、レントゲンで骨端線を撮ってもらえばよいだろう、ということになりますが、病気でもないのにレントゲンを撮ってほしいというのは、かなり難しい注文です。どうしても知りたいのであれば、成長を専門とするクリニック等で相談してみてください。

また、もしどこかケガをして整形外科でレントゲンを撮ったときなどに、骨端線のことを頭に入れておくと、ついでに確認することができると思います。ただし、この骨端線についても、無くなる時期はかなり個人差がありますし、レントゲン写真では消えていたはずなのに身長が明らかに伸びた、という話を聞くこともあります。

そうはいっても、20代半ばになっても身長が伸びているということは滅多に聞きません。もし1cm程度伸びたとすれば、日内変動によるものと思われます。いずれにせよ、何らかの異常がなければ、身長は一生の前半で止まってしまいますから、伸びている時期を大切にすることの方が重要です。