投資したお金を上場企業に貸して運用

■貸付投資サービス「Funds」

個人向け社債と似たようなサービスとして、ファンズが運営する貸付投資サービス「Funds」があります。Fundsで貸付投資できるファンドは主に上場企業が借り手となります。債券同様、ファンドには予定利回りと運用期間が設けられています。

Fundsで運用しているファンドの予定利回りは1~3%となっています。元本割れの可能性もありますが、そうならないよう、Fundsが一定の基準を設けてファンドの借り手企業を厳選しています。投資期間も1〜2年程度と短めです。

Fundsは1円から可能。そのうえ、登録や利用に際しての手数料がかからない(振込手数料のみ負担)ため、手軽にスタートできるのも魅力。人気のファンドはあっという間に売り切れますが、中には抽選で購入できるものも。2019年1月にサービスを開始して以来、すでに150本以上のファンドを運用しています。

一部のファンドでは、「Funds優待」がもらえる場合もあります。先述したカゴメの「日本の野菜で健康応援債」の特典のようなイメージです。また、ファンドの借り手企業による、投資家向けのコミュニティーイベントも開催。過去には未発表商品の試食会や物件の内覧会も実施されていました。ただ単に投資するだけではわからない、その企業の魅力に気づくこともできるでしょう。

中途換金不可である点に注意

Fundsのメリットとデメリットは、次のとおりです。

●Fundsのメリット
①預金金利や個人向け国債よりも金利が高い
②定期的に金利収入が得られる
③1円から投資可能
④手数料がかからない
⑤Funds優待やコミュニティーイベントがある
⑥サービス開始以来、元本割れなし(デフォルトなし)

●Fundsのデメリット
①中途換金できない
②企業が倒産すると元本割れの可能性がある
③運営会社が破綻した場合に元本割れの可能性がある
④利子は現金で払い出されるので複利運用できない

個人向け国債、米国ストリップス債、個人向け社債と異なる点として、「中途換金できない」があります。余裕資金での投資を心がけることが大切です。

また、運営会社のファンズが倒産した場合は、元本に影響が出る可能性はあります。ファンドの募集期間中(1〜2週間)は、一時的にファンズにて投資家から集まるお金を保全することになります。募集期間終了後は、ファンドに関する契約上の地位が、倒産隔離が図られたファンズ・オペレーション合同会社に移転されます。移転後は、仮にファンズが破綻しても投資家に影響が出なくなります。よって、ファンドの募集期間にファンズが倒産した場合において、元本に影響が出る可能性はあるということです。

●Fundsが向いている人
・個人向け国債よりは高い金利でお金を増やしたい人
・定期的に金利収入が欲しい人
・1〜2年と比較的短期間で用意しないといけないお金がある人
・企業の特典が欲しい人
・投資家コミュニティーイベントに参加してみたい人

NISAやiDeCoを既に活用している中で株や投資信託以外の資産へ投資をしたい人、どうしても値動きが気になって投資に一歩進めない人、元本割れせずに預金利率よりは高い金利でお金を増やしたい人、無リスク資産のお金の置き場所を検討していた人などは、今回ご紹介した、個人向け国債(変動10年)、米国ストリップス債、個人向け社債、貸付投資サービス「Funds」への投資を検討してみてはいかがでしょうか。

頼藤 太希(よりふじ・たいき)
マネーコンサルタント

株式会社Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年にMoney&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『Mocha(モカ)』、YouTubeチャンネル『Money&YouTV』、Podcast『マネラジ。』、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)など書籍90冊、著書累計150万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。