手取り額が目減りする中、インフレに負けない投資をするにはどうしたらよいか。経済ジャーナリストの頼藤太希さんは「手取りが増えない状況を変える手段としては、働いている時間以外や寝ている間に、お金を稼いでくれるような仕事・資産を持つこと」という――。
リスク管理の概念
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20年前と比べて平均年収は18万円減

国税庁「民間給与実態統計調査結果」(2021年)によれば、給与所得者の平均給与は443万3000円となっています。2009年のリーマンショック直後は405万9000円からすれば回復基調ではありますが、2000年が461万円であり、いまだにその水準に達していないのがわかります。

2000年からの20年間、全く給与は伸びず、これが日本の経済を停滞させている要因なのもうなずけます。

平均給与が伸び悩む一方、社会保険料は順調に増えているのが次のグラフです。こちらのグラフは厚生労働省のWebサイトから拝借した厚生年金保険料率の推移です。

2000年は13.58%だった月収ベースの保険料率が、今や18.3%となっています。なお、厚生年金保険料は労使折半なので、給与所得者が支払う厚生年金保険料は実際にはこの半分です。

寝ている間にお金を稼いでくれる仕事と資産のポイント

とはいえ、平均給与は全く伸びていないのに、厚生年金保険料をはじめとする社会保険料負担は増えているので、手取りが確実に減っているというのが現実です。

この手取りが増えない状況を変える手段としては、働いている時間以外や寝ている間に、お金を稼いでくれるような仕事・資産を持つことです。起業家、エンジェル投資家、インフルエンサー、作家として活躍、伝説の最成功者ともいわれているナヴァル・ラヴィカントさんのことが描かれた『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』(エリック・ジョーゲンソン著)で、寝ている間もお金を稼ぐ仕事・資産として紹介されているのは以下のものでした。

・ビジネスオーナー
・本の著者(印税)
・金融資産(株、投資信託、債券など)
・不動産
・プログラマーやアプリ製作者(Webサービスやアプリ収入)
・ブロガー(アフィリエイトや広告収入)
・YouTuberや音声配信者(広告収入)

ヒト、カネ、コード、メディアを持ち、レバレッジと複利効果を掛け合わせることが資産を大きく増やすポイントということです。

上記の中で始めやすいのは、「金融資産」と「ブログ、YouTube、音声配信などのメディア」を持つことでしょうか。どちらも短期的ではなく、中長期と時間をかけて資産を築いていくイメージです。筆者はお金の専門家なので、金融資産の話で進めていきます。