米国債は「利付債」より「ストリップス債」

■米国ストリップス債

米国債は文字どおり、米国が発行する国債です。日本でも、金融機関を通じて米国債を購入できます。債券には、発行した相手(発行体)が万が一破綻するとお金が返ってこなくなる可能性(信用リスク)があります。

しかし、世界経済の中心であり、GDP(国内総生産)が世界ナンバーワンの米国が破綻することは考えにくいでしょう。それでいて、米国債は個人向け国債よりも利回りが高くなっています。昨今の米国の金利上昇を受けて、3〜4%もの利回りとなっているものもあります。

この米国債には「利付債」と「ストリップス債」の2種類があります。利付債は、通常、元本部分と利息部分で構成されていて、保有していると定期的に利息が支払われます。一方、ストリップス債は、割引で販売されて満期になると額面の金額が受け取れる債券です。利息の支払いはなく、持っている間の金利は元本に組み込まれるため、複利効果を得やすいのが特徴です。より資産形成に向いているのは、米国ストリップス債です。

安全でかつ高金利の米国債ですが、外国の債券であるため、為替変動リスクの影響を受けます。米国債は米ドルでの取引になりますので、購入時よりも円高になれば利益が減ったり、円安になれば利益が増えたりする可能性があります。とはいえ、為替変動は気にせず投資しても問題ないでしょう。

為替は金利の動きとほぼ連動しています。米国の金利が高くなれば債券価格下落・円安でほぼ相殺、金利が低くなれば債券価格上昇・円高でほぼ相殺という具合です。

ただし、行き過ぎた円安・円高があった場合は売買しないように注意が必要です。

中途換金には要注意

米国債(ストリップス債)のメリットとデメリットは、次のとおりです。

●米国債(ストリップス債)のメリット
①世界一レベルで安全な資産
②国債の中で金利が高い
③複利効果が得られる
④インフレに比較的強い

米国はインフレに対して金利が感度高く変動すること、また為替レートの変動は物価変動に影響を受けることもあり、個人向け国債よりもインフレに強い資産といえます。

●米国債(ストリップス債)のデメリット
①中途換金で元本割れの可能性がある
②為替変動リスクがある
③為替手数料がかかる(SBI証券や楽天証券などでは往復0.5円)
④自動積立ができる金融機関がほぼない

満期保有せず、中途解約する場合は売却時点の価格で取引することになります。そのため、購入時より価格が下がっていれば、元本割れとなります。為替変動リスクはありますが、ドルで戻ってきた時にすぐ円に転換する必要はありません。ドルのまま保有しておき、為替レートが問題のない水準になったタイミングで換金すれば良いでしょう。

また、自動積立ができる金融機関がほぼありません。筆者が調べたところ、FPL証券では積立投資ができるようです。

●米国債(ストリップス債)が向いている人
・安全性に考慮しながら、預金利率よりは高い金利でお金を増やしたい人
・堅実にお金を増やしたい人
・通貨分散、資産分散をしたい人