コロナ禍の最中、管理職への昇進の連絡を受けた大谷絵里子さん。現場が好きだった大谷さんにとって、当時の辞令は嬉しいものではなかったという──。
ロッテ 品質保証部表示課 課長 大谷絵里子さん
撮影=植田真紗美
ロッテ 品質保証部表示課 課長 大谷絵里子さん

実験が、研究が、モノづくりが大好き

課長の内示が出たのはコロナ禍のまっ最中。「まさか」と驚き上司に電話すると、「せっかくだから頑張ってみて」と。在宅勤務のもとで組織が変わり、メンバーも入れ替わる中で初めて管理職になるなんて──。

「頭の中はパニックでした。夫に『大丈夫かな』と聞くと、私の仕事を全然知らない彼は、『やってみれば』とゆるく応援してくれましたが」

もともと管理職への意欲は低く、現場で手を動かすのが好きだった。大学は理系で研究職を志し、モノづくりができる企業を志望する。健康食品に興味を持ってロッテへ入社。ロッテの商品には思い出があった。

「高校の頃、ライムミントのキシリトールガムを食べたら、ミントは苦手だったのに美味しかった。自分も大人になったかなと嬉しくて(笑)」

入社後は会社の研究所でキシリトールガムの研究に携わり、翌年には健康食品研究室へ。コラーゲンなど女性向けの健康食品を担当する。仕事は楽しかったが、1人目の子の妊娠を機に引き継ぐことに。できる限り片付けて産休に入るつもりが、残り2週間というときに切迫早産で急きょ自宅安静に。すべてが中途半端になり、迷惑をかけたようで辛かった。当時は産休を取る女性が今ほどおらず、なおさら心が痛んだ。