緊張を緩和して仕事力アップ
新年度になると、新しい職場環境やポジションに就いて、初対面の相手や人前で話す機会が増えます。キックオフミーティングなどの重要なイベントが続くこの時期は、普段以上に緊張への不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
適度な緊張は集中力を高めることもあり、けっして悪いことばかりではありません。しかし、極度の緊張は、仕事の効率化やキャリアアップの妨げとなる恐れがあり、早めに改善しておきたいところです。そこで今回は、緊張を緩和する方法について取り上げます。
よく「緊張対策」を聞かれ「経験を積めば緊張しなくなるよ、場慣れだよ」と答える人がいます。もちろんそれも一理あります。しかし、緊張は、経験が少ない若手社員だけがするものでしょうか? 答えはNOです。事実、私の元にトレーニングにいらっしゃるのはほとんどが管理職や役員の方です。
なぜ管理職や役員が多いのかというと、もちろんさまざまなご相談内容がありますが、特に多い理由は2つです。1つ目は、これまで緊張をなんとか誤魔化してきたが、役員就任後はオフィシャルな場面で話す機会が増えるので、会社の代表としてふさわしいスピーチスキルを身に付けたいというものです。
2つ目は、役職が上がったからこそのプレッシャーがあるからです。若手の頃なら「慣れていないのでうまくいきませんでした」で済んでいても、管理職以上ともなると、周囲からうまく話せて当たり前と思われているため、「部下の前で失敗したらどうしよう」「恥ずかしいところを見せられない」というプレッシャーを抱えていることから、結構多くの方がトレーニングにいらっしゃいます。
スピーチスキルはビジネススキル
外資系企業では、スピーチスキルはビジネススキルとして重要視されているところが多いようです。ある程度のポジション昇格とともにスピーチが苦手な方には会社からスピーチトレーニングの受講をすすめられることがあり、実際、私も担当することがあります。しかし、多くの日本企業では、まだ個人任せのところがほとんどではないでしょうか。
以前、国内メーカーに勤務するTさん(40代女性)が個人でスピーチトレーニングを受講してくださいました。広報部の課長になったばかりのTさんは、社内関係各所、メディア対応など人前で話す機会が増えたのですが、あがり症で、人前に立つと声や手が震えてしまうというお悩みを抱えていました。
もともと優秀な方でしたので、あがり症を克服して人前でもしっかり話せるようになった結果、あらゆる場面で本来のパフォーマンスを発揮できるようになり、社内外からの評価も上がり3年後には女性役員に抜擢されました。
この事例のように、マネジメント層の緊張対策は、決して個人の問題にとどまらず、企業にとっても人材活用につながるキャリア形成の上で重要なものなのです。