26.2%が「不利益な扱いを受けたことがある」
これは、男性はこうあるべきだという先入観で、育休取得を上司が妨害するパタハラ(パタニティ・ハラスメント)だ。
厚生労働省の「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」(2021年3月)の「男性の育児休業等ハラスメント調査」によると、勤務先で育児休業等に関するハラスメントまたは不利益な取り扱いを受けたことがある人は26.2%もいる。従業員99人以下は31.1%に上る。ハラスメントを受けた相手で最も多かったのは上司の66.4%。
受けたハラスメントでは「上司による、制度等の利用の請求や制度等の利用を阻害する行為」が最も多く53.4%。「繰り返しまたは継続的な嫌がらせ等(嫌がらせ的な言動、業務に従事させない、もっぱら雑務に従事させる)」が26.7%。また、「昇進、昇格の人事考課における不利益な評価」が22.1%もあった。
男性育休取得が進まない背景には、経営者の無理解や上司のパタハラなど男性育休を阻む根深い要因が潜んでいる。
育児休業給付金の給付率アップだけで簡単に解決する問題ではないことは確かだ。
1958年、鹿児島県生まれ。明治大学卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。著書に『人事部はここを見ている!』など。