「私」を主語にして体験を話す
【アル】そうですね。子どもを加害者にも被害者にもしないために、一緒に子育てするチームとしてやっていこうと。
【田嶋】夫になかなか主張できない女性が多いけど、きちんと話せたらいいよね。遠慮しちゃうんだろうけど、もっとオープンに自分のイヤだった体験をしっかり話したらいいと思う。
【アル】私は自分の体験を話すことが多いです。「私も痴漢やセクハラにすごく傷ついて、今でも忘れられない」とか。男と女では見えている世界が違うから、夫は妻も性暴力に傷ついた経験があるとガチで知らなかったりするので。
【田嶋】うんうん。「私」を主語にするってとても大事。
【アル】自分の被害体験を話すのってキツいので、手紙やメールなど文章で伝えるのもおすすめです。文章にした方が言いたいことを言い切れるし、相手も何度も読み直して理解を深められるので。「大切な話があります」と改めて伝えないと、本気で聞かない夫も多いですから。本音は「おまえもジェンダーや性教育について学べよ! 親だろうが!」と投げ飛ばしたくなりますけど。
【田嶋】そうだね。女性が我慢しろって話にはしないこと。夫婦で協力して、一緒に子どもを育てていくチームとして歩み寄りたいのであれば、男が譲歩することも必要じゃないかな。
よく話せば男はわかると思うよ、女をさんざん穴と袋にしてきたんだから。
歩み寄らないと男女の溝は埋まらない
【アル】話し合って歩み寄らないと、男女の溝は埋まらないし、フェミニズムも前に進みませんよね。
【田嶋】腹が立つのもわかるんだけど、女の人が心底イヤがっていることを、キチンと言葉で伝える。
【アル】オギャーと生まれた瞬間から違う性別で生きてきて、感覚が違うのは当たり前ですよね。
お互いの違いを認めながら、議論して理解を深めていく、それが民主主義なんだと思います。私もたまに夫とドンパチしながら、がんばりますよ!
神戸生まれ。著書に『フェミニズムに出会って長生きしたくなった』『モヤる言葉、ヤバイ人』『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった』『オクテ女子のための恋愛基礎講座』『アルテイシアの夜の女子会』他、多数。
元法政大学教授。元参議院議員。英文学・女性学研究者。書アート作家。シャンソン歌手。女性学の第一人者として、またオピニオンリーダーとしてマスコミでも活躍。津田塾大学大学院博士課程修了。イギリスに2度留学。『愛という名の支配』『ヒロインはなぜ殺されるのか』『我が人生歌曲』など著書多数。