学校や会社など身近な日常におけるトラウマのリスク

学校や会社も同様です。例えば、日本では2020年度でわかっているだけで、小中高校からの報告では415人が自殺しています(文部科学省「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」)。自殺に至らずにトラウマを負う人の数は当然ながら何倍にもなると考えられます。

会社でのパワハラ、モラハラの被害はどうでしょうか? 厚生労働省の調べでは、各都道府県に寄せられる職場でのいじめや嫌がらせの相談件数は年々増加しており、2021年度で8万6034件にものぼります(厚生労働省「令和3年度個別労働紛争解決制度の施行状況」)。被害者にとっては存在を危機にさらされる、まさに地獄の苦しみです。

このように見ると日常の持続的なストレスも、トラウマの原因として見逃すことはできません。戦争や災害や犯罪のストレスによって起こるPTSDも認められるまでに長い年月が必要でしたが、これからは日常生活で被るストレスもトラウマとなり得ると広く認知される必要があるようです。

みきいちたろう
公認心理師

大阪生まれ、大阪大学文学部卒、大阪大学大学院文学研究科修士課程修了。在学時よりカウンセリングに携わる。大学院修了後、大手電機メーカー、応用社会心理学研究所、大阪心理教育センターを経て、ブリーフセラピーカウンセリング・センター(B.C.C.)を設立。トラウマ、愛着障害、吃音などのケアを専門にカウンセリングを提供している。雑誌、テレビなどメディア掲載・出演も多く、テレビドラマの制作協力(医療監修)も行なっている。著書に『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』(ディスカヴァー携書)、『プロカウンセラーが教える 他人の言葉をスルーする技術』(フォレスト出版)がある。