他部門経験が部長昇進の条件の会社も
同じ部署で係長クラスから課長に昇進し、そのまま長く同じポストを担当するほうが部長に昇進しやすいかと問われれば、もちろんそれも可能でしょうが、必ずしもそちらのほうが有利だとは思いません。会社によっては、課長昇進後の他部門異動経験を部長昇進の条件としている会社もあるくらいです。その際、部内異動などでは他部門異動経験としてはカウントされないそうです。やはり、部長には幅広いジェネラルなマネジメント視点と、現状踏襲ではない改革視点を求める会社が多いと言えそうです。
この傾向は、役員登用では一層顕著です。次世代経営人材プールに登録された人は、全社横断的な、さらにはグループ横断的な育成ローテーションの対象として他部門経験を積ませることが定番です。
課長昇進が目標であれば、ずっと自部門で異動せずに垂直的に昇進する「棒上がり」も悪くありませんが、部長や役員を目指すのであれば、若年層の段階でも異動を厭わないほうがいいでしょう。部長や役員には、それなりの裾野の広さが必要です。早く課長になった人が早く役員になるわけでもありません。
30代半ばから40歳くらいで課長になって最初のポジションを数年経験してから初めて新たな仕事に異動するよりは、若年層のうちに異動を経験して耐性を作っておくほうがよさそうです。
自分はもうこの部署の課長にはなれないのか
A:昇進に不可欠なもの、それは「空きポスト」です。ポストがなければ昇進できません。
責任権限の明確化や意思決定の迅速化を目的に、組織数や組織階層はできる限りスリム化するというのが基本的な流れです。同様の理由で、副部長や部長代理などの中間役職を置く会社も少なくなっています。成長企業はポストが増えるでしょうが、全体傾向としては、ポストがどんどん増えていくという状況ではなさそうです。
空きポストの次に、昇進に大きな影響を与えるものが登用候補者の数です。需要と供給の関係です。需給状況を最もざっくり判断するには、年齢別の労務構成が参考になります。皆さんも、縦軸に年齢、横軸に男女別の人数をとった労務構成グラフを見たことがあると思います。その自社版や自部門版です。なぜ、年齢別なのか、男女別なのかという声も聞こえてきそうですが、実際にはかなり参考になります。