文章を短く区切り、文末をごまかさない

多くの人が聞きたくないと思うイヤな話し方が、ダラダラと続く長い話です。自分の話を短く切るように意識をしている人は、あまり多くありません。

文章で書く場合、句読点を入れずに長々とした一文を書き、読みづらいと気づいて、あとから文章を短く区切った覚えはありませんか。僕たちはみんな、国語の授業や受験、仕事で文章を採点されたり、直されたりしたことはありますが、話し方については直された経験がありません。そのため、多くの人が改善をせず、我流の話し方を続けてきているのです。

話し方の場合、文章のようにあとから短く区切ることはできません。であればなおのこと、話している段階から文章を短く区切ることを意識しないといけません。

「○○○○で、△△△△で、□□□□で」とずっと話が続いたり、「この前の企画がお客さん的に微妙みたいで、ねえ……」と文末を濁して言い切らずに相手に話を振ったりする人は、周りにいませんか。

両方とも、聞き手にストレスを与えます。

まずは話を短くし、長くなりそうならいったん区切ること。

文末をごまかさず、最後まできちんと言い切ること。

この2つを普段から気をつけていると、聞き手に安心感を与えることができるようになります。

人気のある話し手は、話のスピードが速い

話の快適さを左右する大きな要因に、話のスピードとリズムがあります。ここを工夫するだけで、聞き心地が良くなり、相手がしっかりと集中して話を聞いてくれるようになります。

Voicyをはじめ、音声配信のPodcastや動画プラットフォームのYouTubeなどで近年、顕著な変化があります。

それは、人気のある話し手はみなさん、話のスピードが速いということです。

テレビの生放送は等速で聞くことが当たり前でした。

でも、YouTubeやVoicyでは、多くの人が1.2倍速や1.5倍速でコンテンツを視聴しています。倍速再生が当たり前になったことで、今度は等速のコンテンツを遅いと感じるようになっています。

また動画の世界では、「間」を詰めてリズム良く視聴できる編集技法「ジェットカット」が普及しています。

聞き手がこうしたコンテンツに慣れてくると、ゆっくりしたトークでは集中力が持たず、手元のスマートフォンでSNSをチェックしたり、ほかの作業をしたりするなど、聞くこと以外に意識が向かってしまうようになります。

人気のある話し手は、聞き手の注意がほかに逸れないよう、意識的にトークを速めています。

もちろん、すべてのトークが速くなると聞き取りにくくなるので、大切な部分は聞き取りやすいよう、話のスピードに緩急をつけ、リズム良く話しています。

セミナーで欠伸をする男性
写真=iStock.com/skynesher
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