自分に投資して、将来の報酬に換える

私自身の人生を振り返ると、攻守のバランスをとることはなく(笑)、ひたすら「攻め」てきました。新卒で銀行に就職し、その後、2回目の転職でマネックスグループに入り、やがて現職に就いています。

清明 祐子さん

20~30代前半はよく飲みに行き、ゴルフを始め、ワインスクールに通い、マラソン大会に出場し……、給料だけでは足りずに、ボーナスで補填ほてんしていた時期もあります。英会話にはこれまで100万円以上かけたと思います。赤字ギリギリでも「攻め」でした(笑)。

けれども、それを無駄遣いと考えたことは1度もなく、働きながら自分のお金を何かに投資することによって、将来のお金に換えようと。その何かが当時は「自分」だったのです。

転職したときも報酬は下がりましたが、あまり気にしませんでした。今はマイナスでも、そこで頑張れば給料を上げることができるし、自分に足りないものを身に付けることで、20年後の自分の価値が上がると信じて仕事をしてきました。

成長に投資し、将来を楽しみにしよう

こう考えると、投資もキャリアも同じかもしれません。証券会社の社長としての言葉ではなく、1人の先輩として、若い世代に向けて「お金を増やさなくてもいいから、自分を信じて、自分に投資する。目指せ、ハイリターン!」といいたい。

ある程度のキャリアを積んだ世代は、仕事と資産形成の両輪を回して、お金をどんどん増やしてください。

インフレも円安も個人でコントロールできるものではないので、不安がって縮こまっていては時間がもったいない。資産も、自分も、「守るより成長」。短期的な収益を求めずに、成長に投資し、将来を楽しみにしたほうが、明るい人生になると思います。

お金を守るための3カ条
1. 投資し続けることが資産防衛になる
2. 分散・長期・プロに任せる「投信積立」がおすすめ
3. 自分に投資して、目指せ、ハイリターン!

構成=坂本君子 撮影=国府田利光

清明 祐子(せいめい・ゆうこ)
マネックス証券 代表取締役社長

マネックスグループ株式会社取締役 代表執行役Co-CEO 兼 CFO。2001年大学卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。06年にMKSパートナーズ(プライベート・エクイティ・ファンド)の参画を経て、09年2月にマネックス・ハンブレクト(17年にマネックス証券と統合)に入社し、11年に同社社長に就任。19年4月よりマネックス証券代表取締役社長。20年1月マネックスグループ代表執行役COO、21年1月よりCFO兼務。21年6月マネックスグループ取締役 代表執行役COO 兼 CFO、22年4月よりマネックスグループ取締役 代表執行役Co-CEO 兼 CFO。