物価が上がることで「潮目が変わった」

今、グローバルで考えると、どの国の政治も経済も不安定で、新型コロナウイルス感染症を筆頭に戦争、物価上昇、エネルギーや食料不足など、不安要因が多数あります。私は相場の専門家ではないのですが、ここから2023年にかけてもウクライナ危機などがどう決着がつくかわからない状況で、株価や為替は安定しない状態が続くと思っています。

マネックス証券代表取締役社長 清明祐子さん
撮影=国府田利光
マネックス証券代表取締役社長 清明祐子さん

一方、日本経済に目を向けると、「スタグフレーション」に突入したと見ているアナリストもいます。これは、景気が後退していく中でインフレが同時進行する現象のこと。給料が上がらないにもかかわらず、原油価格の高騰など原材料や素材関連の価格上昇によって物価が上昇する最悪の事態、ともいわれています。

私たちの世代は物心がついてからずっと“失われた30年”といわれるデフレの中を生きてきました。給料が上がらないのも、金利がゼロに近いのも、「そんなもの」として受け入れてきたのです。物価が上がることは初めての経験で、今、本当に「潮目が変わった」ことを実感しています。