真に反省すべきは、損失ではなく“雑な対応”
無論、しっかり吟味して買ったからと言って、儲かるとは限りません。
むしろ、たいして吟味もせずに、適当に買った銘柄の方が、ラッキーパンチで暴騰することがあるかもしれません(残念ながら、私の場合は、そんなラッキーパンチなどほとんどありませんでしたが)。
ですので、NISA口座で購入した銘柄が上がったか下がったかは結果論に過ぎず、反省すべきは、「損失が出たこと」ではありません。今回の失敗で真に反省すべきは、しっかり吟味して、そして納得して購入しなかった(できなかった)ことなのです。
しっかり吟味しての投資であれば、その結果如何にかかわらず、その経験を次に活かすことはできるはずです。しかしそれが焦って雑な投資の場合、ノウハウは蓄積せず、次に活かすことはできません。
また、しっかり納得しての投資であれば、たとえ損失が出ても、それは自己責任として、自身で消化できるはずです。しかしそれが焦って雑な投資だと、ただ悶々と後悔するだけで、精神衛生上よろしくないことが多いものです。
実際、私はNISA口座での損失を見るたびに、「早まったなぁ……」としか思うことができず悶々とし、その損失から得るものはほとんどありませんでした。
1年間を、しっかり区切って行動する
そんな失敗を活かし、今では、年末に焦ってドタバタすることがないよう(しっかり吟味、納得して投資できるよう)、非課税投資枠は計画的に消化していくように心がけております。
たとえば、3月までにIPO当選がなければ、その時点で非課税投資枠30万円分(年間120万円×3カ月/12カ月)の消化を意識するといった感じです。もちろん、数字は目安であって、多少の誤差は気にせず、その時点で興味・関心のある銘柄を、じっくり吟味しております。
もし、その時点で気になる銘柄がなければ、無理に投資はしません。
期限が迫り、ドタバタする年末だと難しいことですが、計画的に、1年間単位で捉えれば、無理なくできるわけです。一般に、NISAをはじめ、1年区切りの制度が多いですが、年末に慌てるのではなく、自分でしっかり区切りをつけて、節目節目で考えることの大切さを、あらためて痛感した次第です。
余談ですが、実は、「年末に焦って、雑な判断をしてしまった」という失敗は、NISAだけでなく、ふるさと納税や、事務所の必要経費計上でもやらかしたことがあります。
いろいろなことで、1年間トータルの数字がハッキリ見えてくるのは、年末です。
なので、ついつい年末まで引き延ばして、年末に一気にやろうとしてしまうわけですが、それで(年末のドタバタもあって)焦ってしまい、雑に捌いてしまうことは、投資に限ったことではありません。ですので、今回の失敗(教訓)は、投資以外にも大いに役立てたいところです。
1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。