IPO株で数百万円儲けた記憶が忘れられず
120万円もの非課税投資枠を、年末に焦って使うのではなく、1年間を通して計画的に使えばいいのでは……と思われたかもしれませんが、それができなかった理由が、「NISAの非課税投資枠を、IPO投資のために温存していた」ことでした。
IPOとは、新規公開株(新たに市場に上場する株式)のこと。
新規公開株を公募価格(上場前に購入できる価格)で購入し、初値(上場後に初めて成立する価格)で売却することで、かなりの確率で大きな利益が見込めることから、知る人ぞ知る投資法として有名です。もっとも、公募価格で購入するには抽選に当選しなければならず、これがかなりの高倍率なのですが。
かつて私は、このIPO投資で数百万円もの利益を上げてきたという甘美な記憶から、「NISA口座でIPOを購入すれば、NISAの非課税メリットを最大限活かすことができるはずだ」と目論んだのでした。
というわけで、私はそれまでの当選実績が多く、相性の良かった証券会社にNISA口座を開設し(NISA口座は一人一口座しか開設できない)、首尾よくIPOに当選したなら、そのNISA口座で購入しようと待ちわびていました。
すなわち、当選したIPOを購入するべく、NISA口座では投資をせずに、その非課税投資枠をずっと空けて待っていたのでした。
実践する投資家が急増した「NISA+IPO作戦」とは
しかし、いくら待っても、まったく当選しません。
前述の通り、IPO当選は高倍率ではあるのですが、それでもかつては、私はちょくちょく当選し、大きな利益を上げていました。しかし、私がこの「NISA+IPO作戦」を実行しはじめた頃には、このIPO投資の魅力は世間に知れ渡り、さらに高倍率となり、滅多に当選するものではなくなっていたのでした。
そんなわけで、IPOにはまったく当選しないまま、アッと言う間に年末を迎え、NISAの非課税投資枠はたっぷり残ったまま……といった状況となってしまうのでした。
そして、この非課税投資枠は、次の年に繰り越せないことは、前述の通り。
そんなわけで、年末ギリギリになってから、少しでも非課税投資枠を消化しなければと焦って、とりあえず気になる銘柄を、バンバン買い物カゴに放り込むかの如く、購入するのでした。ただでさえ年末はドタバタしているわけですから、銘柄の吟味など、ほとんどないままに。
今回の失敗をまとめると、「NISAの非課税メリットを最大限活かすべく、NISAをIPO投資のために活用しようとするも、IPOにはまったく当選しないまま、気が付けば非課税投資枠をたっぷり残してしまい、年末に焦って、たいした吟味もせずにドタバタ購入してしまった(その結果、損失が続出)」ということです。
さらに言えば、NISAの非課税メリットを意識し過ぎるあまり、「投資すること」自体が目的となってしまい、「銘柄の吟味」は二の次になってしまっていたわけです。